3 大波多莉緒その2
「ほいっ、一名様ごあんな~い!」
「お邪魔します」
玄関先から二階へと続く階段をのぼり、真正面にある部屋に足を踏み入れた。
室内は十畳ほどの広さがあり、壁紙がピンク色で統一されている。
壁際にはベッドが備えつけられ、制服が脱ぎ捨てられたまま。その横には机や本棚があり、ファッション誌がこれでもかと敷き詰められている。
床にもちょこちょこ物が落ちていて、相変わらず自由な部屋だな、なんてため息混じりに思ってしまった。
「制服、ちゃんとかけとかないとシワになっちゃうよ。あとゴミはゴミ箱に捨てるようにしようね」
「うーわ、女子の部屋に入っての一言がそれとか。ケンケンってばもうちょい恥じらいとか持ったら? デリカシーないぞ~♡」
「……人のこと言える立場じゃないよね? 下着まで床に落としてあるのはちょっと」
「こ・れ・は、ハニートラップだから♡ ケンケンを誘惑するために設置してあんの」
本音か建前か、そんなことをのたまいながら下着をひとつ手に取る大波多さん。
目の前で広げられたそれは黒のレースであり……つまるところ、透け透けでエロい。
こんなの穿いてる姿を見せられたら、一瞬で興奮待ったなしだ。彼女をベッドに押し倒し、快楽を貪る獣と化す未来がみえるもの。
逸る心臓を必死で押さえつけていると、大波多さんが距離を詰めてきた。
僕の目と鼻の先に綺麗な顔を固定したまま、ニコニコと笑みを浮かべてみせる。
「ケンケンの考えてること、当ててあげよっか?」
「っ、あ、当てられるものならどうぞ……?」
「ずばり! これを穿きたい♡ と思ってる!」
「――思ってないよ!? なんで僕が穿く側なの!?」
「え、だってケンケンって変態だしー? 前にあーしの下着持って帰ったじゃん」
「……それ大波多さんのせいだったよね……?」
家に帰ってカバンを開けたら上下ともにそろった下着が出てきて、腰を抜かすほどビックリしたのを覚えてる。
おかげであの後ひどい目に遭ったんだよね……。四つん這いでの移動を余儀なくされたというか。
なんか思い出したらイライラ(ムラムラ)してきたので、なぜか引いたような表情の大波多さんをわからせてやることに。
彼女の背後に手を回しながら、そのピンクに色づく唇を奪ってみた。
「――んっ!? んっ……♡ ちゅ♡」
逃げられないよう腰を引き寄せ、大波多さんと密着しながらのキス。流れで彼女の豊かな胸が押しつけられ、むにゅりと形を変えていく。
その甘美な柔らかさを受け止めつつも、攻めの姿勢は崩さない。
「ちゅっ♡ んっ、ふぁ……舌っ、はいっへ……♡♡」
お互いの唇で熱交換をしながら、わずかに開いた隙間から舌を捻じ入れてやる。奥の方に珍しく引っ込んでたそれに、熱烈な挨拶をかましてやった。
「っ♡ っ♡♡」
僕の攻めを受ける大波多さんは、その綺麗な瞳を蕩けさせ、鼻息を荒くしている。
身体に力が入らないのか、僕に寄りかかるような体勢になった。ますます胸の肉感やら彼女のさわやかな香りやらがダイレクトに伝わってくる。
学園で普通に過ごしているときでは見られない、三大美姫のあられもない姿に、こっちの興奮も増すばかり。
いやらしさあふれる彼女を強く抱きしめながらも、たっぷりと時間をかけて、濃厚キスでわからせていった。
「ぷぁ……っ、今日のケンケン男らしい……♡ カッコ良すぎ……♡ 本気であーしのヘルパーになってほしいかも♡♡」
「それ大波多さんがラクしたいだけでしょ……」
「これからもずっと一緒にいたいってニュアンスが含まれてるの、気づけよ~♡」
「さすがにムリだと思う」
僕は彼女のムチャぶりに呆れながらも、返事の代わりに唇を奪ってやるのだった。
もちろんいいよ、との意を込めて。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます