狂える野獣:優希
第60話
学校から帰ると家には誰もいなかった。
お袋のやつは仕事らしい。
帰ってきていないとせいせいする。
いつからか自分は独りだと思うようになってきていた。
自分――
人間はいつも独りなんだと。
自分の部屋に行き制服から私服に着替えた。
ジーンズにシャツを着ると机の引き出しか
らタバコをとる。
今日はこれから渋谷で仲間と逢うことになっている。
ゲーセンでも行って時間をつぶしてから行こうか?
そう思いジャケットをはおって外に出た。
ドアを閉めるととなりの家の玄関をチラッと見る。
小澤理央の家。
「となりに住んでたんだな……」
そう思うとエレベータに向かった。
さっき俺は理央を病院で見かけたことを言わなかった。
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