第59話

優希の家のドアは閉まっている。



「じゃあね」




私が手を振ってドアにキーを刺そうとすると



「あ、ありがとう。婆ちゃんのこと…… あと、仕事がんばって…… ください」



「うん!」




ドアを閉めると優希の笑顔を思い描いた。



そして自分の感情を見つめた。





優希は先生に似ている。



でもあの時の感情とは似ているようでどこかが違う。



それは彼の冷たい瞳……



そこから導き出された答えは「同じ人間」

そんな気がした。




優希はどこかが私と同じだと。



生きたいと思っていながら心が死んでいる……




世の中に希望を見出せない人間だと思った。

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