第56話

こうして近くで向き合うと最初に感じたほど先生に生き写しって言うほどでもない。



でもどこかが似てる。




「金はいらないんだ…… 親からもらった金はさ」



「だからって捨てること……」



「ハハッ…… それに金なら自分で稼いだのがあるよ」




目を伏せて言う優希の顔はどこか寂しそうな感じがあった。



それ以上は聞くことができなかった。




「この前、病院でも見かけたんだよね」



「ああ、あそこか」



「診察室に入って行ったでしょう?」



「婆ちゃんの見舞いのついでに。風邪ひいてたみたいだから」



「大丈夫?」



「あんなもん注射1本でオッケーだよ」

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