第54話
「大丈夫だよ。それにこの人が助け起こしてくれてこうして一緒にきてくれたからね」
そう笑顔でこたえるお婆さんとなおも心配そうに見つめる優希の表情が印象的だった。
もしかして優希は母親よりもお婆さんに心を開いている――
お婆さんが話し終わる頃にはバスがやってきた。
バスに乗っていくお婆さんを見送る優希の背中を私は見つめていた。
バスが見えなくなってから優希は振り向くと私にお礼を言った。
「ありがとうございます…… 」
「別にお礼なんて」
もう一度頭を下げると優希はマンションに向かって歩き出した。
私も帰ろうと思っていたから必然的に横に並んで歩く格好になった。
夕飯の買い出しに行くような主婦の一団とすれ違う。
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