第53話
「やっぱり婆ちゃんか」
優希は嬉しそうに言った。
そのときの笑顔には私が初めて見たときの「冷たさ」はどこにも見られなかった。
だけど優希は私に目をやると笑顔を消して黙ってお辞儀した。
そのときにはもう以前の瞳にもどっていた。
私は立ち上がって挨拶した。
「こんにちは!」
「どうも……」
言いながら優希はお婆さんを見た。
「知り合い?」
優希に問われたお婆さんは私とこうしてバス停のベンチに座っている経緯を話し始めた。
自転車にぶつかりそうになって転んだという件では優希は顔色を変えて
「大丈夫かよ!?」
と驚いた感じで言うとお婆さんの前にしゃがみこんで顔を覗き込んだ。
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