第44話

「いや、そんなんじゃねえよ。ただ綺麗だなって」



言いながら雑誌を閉じて返した。




「やっぱオマエ面食いじゃん!絶対こんな綺麗なの普通いないよ!あれで俺達と2コしか違わないんだぜ」



もう1人がしみじみ言う。




小澤理央って芸能人がいることは知ってた。



病院で見かけたときはまさか本人とは思わなかった。





あのとき……



待合室で座っていてロビーを見ていると女の2人連れがいた。



目が離せなかった。




芸能人だからとかそんなんじゃなくて、なんて言うか……



その女の周りだけ景色が違って見えたから。



綺麗だけどどこかが悲しそうっていうか危うい雰囲気だった……



それからなぜか頭から離れない。




こんな気持ちになったのは初めてだった。

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