第37話

自分はもうすぐ死ぬというのに自分よりも私のことを想ってくれていた……




先生……



先生に逢いたい!!



思うたびに私は泣いて……




泣きつかれると思考は止まって、暗闇の中で何時間も茫然としていた。



それでも仕事を休むことはできない。



毎日、何も考えずにひたすら動いた。




家に帰ってテレビをつけると私が画面に映っている。




テレビの私は弾けるような笑顔で笑っている。




それは台本通りに笑っているだけで……



自分でも何が楽しくって笑っているんだろうと思った。



テレビに映っている笑顔の自分を抜け殻のような私が見ていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る