第35話
文化祭の成功を収めた美咲たちは、次の活動を模索する中で、さらなる挑戦への意欲が高まっていた。オーケストラ部のメンバーは、学校外での演奏を希望する声が多く、次第に地域の音楽イベントへの参加を考えるようになっていた。
「地域の音楽祭に参加したいなと思うんだけど、みんなどう思う?」美咲が提案すると、部員たちは興奮した様子で意見を述べ始めた。
「いいね!もっとたくさんの人に私たちの音楽を聴いてもらいたい!」一人のメンバーが言い、他の仲間たちも賛同した。「私たちがこれまでにやってきたことを披露するチャンスだよ!」
美咲は仲間たちの反応に嬉しさを感じながらも、心の奥で不安も抱えていた。「でも、地域の音楽祭は大きな舞台だから、もっと練習が必要だよね…」
「大丈夫!みんなで頑張れば、きっと素敵な演奏ができるよ!」友達の言葉に励まされ、美咲は再び気持ちを奮い立たせた。
それからの数週間、オーケストラ部は新たな曲に挑戦しながら、地域の音楽祭に向けて準備を進めた。練習の回数が増え、少しずつ音楽に対する自信も芽生えていった。美咲はリーダーとしての責任感を感じつつも、仲間たちとの楽しい時間を大切にしていた。
ある日、練習後に悠斗が部室に訪れた。「美咲、地域の音楽祭に出るって聞いたよ。頑張ってるね!」彼は応援の言葉をかけてくれた。
「ありがとう、悠斗!私たち、絶対に成功させるつもりだから!」美咲は自分の決意を伝えた。悠斗は優しく微笑みながら、彼女の背中を押すように頷いた。
練習が進むにつれ、メンバーたちの一体感はますます高まり、音楽に対する情熱が一層強くなっていった。しかし、舞台での演奏を前にした美咲は、やはり緊張感を感じていた。
「本番が近づいてきたけど、まだまだ不安があるよ…」美咲は友達と話し合う中で、心の内を打ち明けた。「私たちの演奏が上手くいくか心配で…」
「不安になるのは自然だよ。でも、私たちがここまで頑張ってきたことを思い出してみて。きっと、みんなで一緒に演奏すれば大丈夫!」友達の言葉に勇気をもらい、美咲は少しずつ不安を和らげていった。
そして、ついに地域の音楽祭の日がやってきた。会場は多くの観客で賑わい、美咲は舞台裏で緊張しながら待機していた。仲間たちと一緒にいることで、少しずつ安心感を感じ始めた。
「みんな、心を一つにしよう!私たちの音楽を楽しもう!」美咲は仲間たちを鼓舞し、彼女自身も深呼吸をして心を落ち着かせた。
いよいよ演奏の時間が近づき、舞台に立つ瞬間が訪れた。美咲は観客席を見渡し、たくさんの人々が彼女たちの演奏を楽しみにしていることを実感した。その瞬間、心の奥に沸き上がる勇気を感じた。
演奏が始まると、美咲は音楽の中に身を委ね、仲間たちと共に心を一つにして演奏した。観客の反応を受けながら、彼女たちは演奏の楽しさを分かち合うことができた。心が一つになり、音楽が自分たちの手の中にあることを感じた。
演奏が終わった瞬間、観客からの拍手が響き渡った。美咲はその温かい声援に包まれ、仲間たちと喜びを分かち合った。彼女の心は音楽で満たされ、次なる挑戦への希望に満ちていた。
この経験を通じて、美咲は自分自身が成長していることを実感し、仲間たちと共に新たな夢を追いかけることを決意した。音楽の力が彼女たちを繋ぎ、未来への一歩を踏み出す勇気を与えてくれることを信じて。
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