第18話
引っ越しのことが頭を離れないまま、練習の日々は続いた。美咲は、悠斗との最後の瞬間をできるだけ大切にしようと心がけていた。仲間たちもそれを察しているのか、いつも以上に熱心に練習に取り組む姿勢が見られた。
そして、ついにライブの日がやってきた。ドキドキと期待感が入り混じった気持ちで、音楽室で最後の確認を行った。「みんな、今日の演奏は最高のものにしよう!」と悠斗が声を張り上げると、メンバー全員が気合いを入れ直した。
美咲も自分のパートをしっかりと確認し、心の中で「これが私たちの集大成だ!」と決意を新たにした。ライブの前に、メンバー全員が集まり、最後のミーティングを行う。「どんな結果でも、みんなで楽しもう!」という言葉に、仲間たちの顔にも笑顔が広がった。
会場に着くと、観客の熱気が感じられた。仲間たちとともに舞台裏で準備を整え、美咲は緊張と興奮の入り混じった心境だった。「一緒にやるのはこれが最後かもしれないんだ…」そんな思いが頭をよぎる。
ステージに上がると、観客の拍手が響き渡り、美咲の心はさらに高鳴った。悠斗と目を合わせ、彼の笑顔が心強い味方になった。「行こう、みんな!」と悠斗が声を掛けると、美咲は自分の役割を果たすことを決意した。
演奏が始まると、仲間たちとの一体感が感じられ、美咲は思い切りドラムを叩いた。音楽が流れる中、観客の反応がダイレクトに伝わり、さらに気持ちが高まっていく。美咲は、悠斗のギターの音に合わせてリズムを取りながら、楽しむことを忘れなかった。
演奏が進むにつれて、観客の反応も熱を帯びていく。美咲はその瞬間を存分に味わい、「これが私たちの力なんだ!」と心の中で叫んだ。曲が終わると、観客の大きな拍手が響き渡り、感謝の気持ちで胸がいっぱいになった。
ライブが無事に終わった後、仲間たちはお互いに喜びを分かち合った。「最高だった!」「私たちの演奏、みんなに届いたよね!」と興奮の声が飛び交う中、美咲は悠斗の元に駆け寄った。「悠斗、ありがとう!一緒にやれて本当に良かった!」と言うと、悠斗は照れくさそうに笑って、「俺も、美咲と一緒で良かった」と返した。
その瞬間、美咲の心の中で何かが弾けた。彼との時間がこれまで以上に特別なものに感じられ、今後も続いてほしいと強く願った。仲間たちと共に、これまでの努力が実を結んだことに感謝し、また新しいスタートを切ることを心に決めた。
ライブ後の打ち上げで、美咲は仲間たちと一緒に笑い合い、楽しい思い出を作っていた。「次のバンドの活動も頑張ろうね!」とみんなで誓い合いながら、楽しんでいる中で、美咲は悠斗をそっと見る。
その視線に気付いた悠斗が笑顔で目を合わせ、彼女の心に温かいものが流れ込むような感覚があった。「これからも、ずっと一緒にいたい」と思わず心の中でつぶやくと、悠斗はその時、まるでその気持ちを察しているかのように、美咲の手を優しく握った。
その瞬間、二人の心が一つになったように感じられ、今後の未来に希望を抱いた美咲は、新たな挑戦に向けて前を向いていこうと決意した。彼女の心の中には、悠斗との思い出が永遠に刻まれていくことを信じていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます