第15話

文化祭がいよいよ明日に迫り、美咲は緊張と期待で心が高鳴っていた。音楽室では、バンドメンバーが最後の練習を行っており、みんなの顔にはやる気が満ちていた。


「今日はリハーサルも含めて、しっかりやろう!」と美咲が呼びかけると、仲間たちも「了解!」と返事をして、意気込みを見せる。リハーサルの時間、バンドメンバーは自分たちの演奏を確認し、細かいところを調整しながら、充実した時間を過ごしていた。


「この部分をもう少し速くしたら、もっとカッコよくなるんじゃない?」と悠斗が提案すると、他のメンバーも賛同して、アレンジを加えてみることに。美咲は悠斗のアイデアを聞きながら、「いいかも!それでいこう!」と興奮気味に応じた。


練習が終わると、美咲はホッとした気持ちを抱えながらも、緊張感が残っているのを感じた。仲間たちと共に楽しんだ時間が、彼女に自信を与えてくれる。けれど、明日の本番が迫るにつれ、その緊張が増していくのを止められなかった。


「明日のステージ、どうなるかな?」と美咲が呟くと、悠斗が側に寄ってきて、「大丈夫、みんなで一緒にやるんだから、絶対楽しいよ!」と優しく励ましの言葉をかけてくれた。その瞬間、美咲は心が温かくなり、彼の存在が大きな支えであることを再確認した。


「ありがとう、悠斗。あなたがいるから心強いよ」と美咲は感謝の気持ちを伝えた。悠斗は微笑みながら、「明日は一緒に楽しもう!」と言って、手を差し伸べた。


放課後、美咲は家に帰る道すがら、文化祭の準備を思い返していた。明日は特別な日であり、仲間たちとの演奏が成功すれば、みんなと一緒に素晴らしい思い出を作れるのだ。そう思うと、心の中で高揚感が広がっていく。


夜、寝る前に美咲は自分のドラムセットを見つめ、「明日こそ最高の演奏をするんだ」と心に決めた。彼女は早めに布団に入り、明日への期待に胸を膨らませながら眠りにつく。


そして、文化祭当日。早朝から友達と一緒に学校に向かい、準備に追われる生徒たちの姿が目に入る。美咲は仲間たちと一緒に、ステージの設営や楽器の準備を手伝い、心がどんどん高まっていった。


「これからやるんだ、私たちのバンドが!」と美咲は自分を奮い立たせ、仲間たちと共に楽器を整えた。やがて、ステージが完成し、いよいよ演奏の時間が近づいてくる。


「みんな、これから頑張ろう!」と美咲が声をかけると、仲間たちも「頑張ろう!」と返し、気持ちを一つにする。ステージ裏で待っている間、緊張感が高まりながらも、ワクワクする気持ちが勝っていた。


いよいよ呼ばれ、ステージに立つ瞬間。美咲は客席を見渡し、たくさんの人々が集まっているのを見て、心が躍った。「みんなの前で演奏するんだ」と思うと、一層エネルギーが湧き上がってくる。


「それでは、私たちのバンドを始めます!皆さん、一緒に楽しんでください!」と美咲が元気よく言うと、拍手が沸き起こる。悠斗と仲間たちも頷き合い、緊張を乗り越えようと心をひとつにする。


音楽が始まり、美咲はドラムを叩き始めた。リズムが体に染み込み、心地よい音が響く中、仲間たちと一緒に一つになった感覚を味わった。演奏が進むにつれて、緊張は徐々に消え、楽しさが広がっていく。


美咲は悠斗の存在を感じながら、彼と目が合うたびに力が湧いてきた。「この瞬間を一緒に感じている」と思うと、心が温かくなり、演奏にさらに力を込めることができた。


文化祭のステージでの演奏は、美咲にとって忘れられない思い出になるに違いなかった。彼女はこの瞬間を大切にしながら、悠斗と共に過ごす日々を心から楽しんでいくことを決意した。


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