第11話
悠斗との関係が新たな一歩を踏み出したことで、美咲の心は一層温かさで満たされていた。彼との約束を大切にしながら、二人の関係がどのように成長していくのか、期待と不安が入り混じった複雑な感情を抱えていた。
ある日の放課後、学校の帰りに美咲は悠斗と一緒に帰ることになった。「今日はどこか寄り道して帰らない?」と悠斗が提案してきた。美咲は「いいね!どこに行こうか?」と嬉しそうに返事をした。彼の提案が心を躍らせるもので、少しだけドキドキした。
「じゃあ、近くの公園に行こうよ。少しのんびりしたい気分なんだ」と悠斗が言った。美咲は頷き、二人で公園へと向かった。静かな公園の中で、二人はベンチに座り、周りの景色を楽しみながら会話を続けた。
「美咲、最近面白いことあった?」と悠斗が聞くと、美咲は少し考えてから「そうだな、文化祭の準備がすごく楽しかったよ。友達と協力して頑張ったし、思い出もいっぱいできた」と答えた。
悠斗は「文化祭って楽しいよね。俺ももっと参加したかったな」と言い、少し残念そうな表情を見せた。美咲はその言葉を聞いて、彼がもっと学校のイベントに参加したいと思っているのかもしれないと感じた。
「じゃあ、次のイベントには一緒に参加しようよ!一緒に何かやるのも楽しそうだし」と美咲が提案すると、悠斗の目が輝いた。「それいいね!何か一緒にやることを考えよう」と彼は答えた。
その時、美咲はふと思いついた。「実は、私、悠斗に秘密があるんだ」と言ってみた。悠斗は驚いた表情で「秘密?何?教えて!」と興味津々になった。
「実は、私、少しだけバンドをやってるんだ。ドラムを叩いてるの」と打ち明けると、悠斗は目を丸くして「それ、すごいじゃん!どんな曲を演奏するの?」と驚きながら尋ねた。
美咲は少し照れながら「ポップス系の曲が多いかな。でも、まだまだ上手くないから、人前で演奏するのは恥ずかしいんだ」と言った。悠斗は「そんなことないよ、きっと美咲の演奏は素敵だと思う。いつか見せてほしいな」と励ましてくれた。
その言葉に美咲は少し安心した。「本当に?じゃあ、今度練習してるところを見に来てくれる?」と聞くと、悠斗は「もちろん!楽しみにしてるよ」と笑顔で答えた。
二人の間には新たな秘密が生まれた。美咲は悠斗と自分の趣味を共有できたことが嬉しく、彼との距離が一層縮まったように感じた。悠斗もまた、美咲の秘密を知ることで、彼女との絆が深まったと感じていた。
帰り道、夕日が二人の背中を照らしていた。「これからも、もっとお互いのことを知っていこうね」と美咲が言うと、悠斗は頷き「そうだね、お互いにいろんなことを教えていこう」と答えた。
その日、美咲は悠斗との新しい関係がより強固なものになっていくことを実感し、期待に胸を膨らませた。彼との秘密や思い出が、これからの春の訪れと共に花開いていくことを願いながら、二人は帰路についた。
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