第10話

悠斗との関係が一歩前進したことを実感し、美咲は心の中で温かい気持ちが広がるのを感じていた。彼の言葉が胸に響き、これからの未来に対する期待で胸がいっぱいだった。しかし、同時に不安もあった。今まで友達だった彼との関係が変わることで、何かを失うのではないかという恐れがよぎった。


それでも、美咲は悠斗と過ごす時間が大好きだった。彼の優しさや笑顔は、何よりも彼女を幸せにしてくれた。そして、彼との関係が深まることに、少しずつ自信が持てるようになっていた。


翌週、美咲は放課後に悠斗に会う約束をした。彼女はその日のために、服装や髪型を何度も確認し、少しでも彼に良く思われるように準備を重ねた。そして、ついにその日がやってきた。


学校が終わると、待ち合わせ場所の公園に向かった。美咲の心臓は高鳴り、少し緊張していた。しかし、悠斗が笑顔で待っているのを見ると、その緊張も少し和らいだ。


「お待たせ、美咲!」悠斗が言いながら手を振ると、美咲は「全然、待ってないよ!」と明るく返した。


公園を歩きながら、二人は互いに近況を話し合った。悠斗は部活のことや学校の授業について、美咲は最近読んだ本や友達との楽しい出来事を話した。話しているうちに、自然と笑顔が溢れ、お互いの距離が近づいていくのを感じた。


しばらく歩いた後、美咲はふと立ち止まり、悠斗に向き直った。「ねえ、悠斗。私たち、これからどうなるのかな?」と素直な気持ちを伝えた。悠斗は少し驚いた表情を見せたが、すぐに真剣な眼差しで「美咲といると、すごく楽しいし、これからも一緒にいたいと思ってるよ」と答えた。


その言葉に美咲は心が温かくなり、思わず微笑んだ。「私も、悠斗ともっと一緒にいたいと思ってる。これからも、お互いのことを大切にしていこうね」と言うと、悠斗は真剣に頷いた。


「約束だよ。美咲のことは絶対に大切にするから」と悠斗が言った。美咲はその言葉に胸がいっぱいになり、二人の心が一つになった瞬間を感じた。彼との約束が、これからの未来に向けての第一歩であることを実感した。


日が暮れかけ、公園の風景が美しく染まっていく中、美咲は悠斗と手を繋いで歩くことにした。「手を繋いでもいい?」と聞くと、悠斗はにっこりと笑いながら「もちろん!」と答えた。


二人の手が繋がれると、心がさらに温かくなった。美咲は、これからの関係がどうなっていくのか期待に胸を膨らませながら、悠斗と共に過ごす瞬間を楽しんだ。


公園を出る頃、夕焼けが二人を優しく包み込んでいた。美咲はその景色を見ながら、悠斗との未来に思いを馳せた。「この瞬間を、ずっと大切にしたい」と心から思った。


その日は、二人にとって特別な日になった。初めての約束、そして新たな関係の始まりを感じる美咲は、春の訪れと共に心を開いていくことを決意した。次の瞬間、彼女の心には、これからの未来への希望が広がっていくのだった。


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