第6話

美咲は、悠斗との関係が一歩進んだことに心が躍っていた。しかし、その一方で彼女の心の中には不安が芽生え始めていた。彼が自分のことをどう思っているのか、友達としての関係が変わってしまうことへの恐れが、美咲の心を重くした。


次の日、学校に行くと、いつものように悠斗が待っていてくれた。彼の明るい笑顔を見て、美咲は思わず心が弾む。しかし、最近の彼の優しさが、時折冷たく感じる瞬間があった。


「美咲、今日の授業、楽しかったね!」悠斗は楽しそうに話し始めるが、美咲はその笑顔の裏にあるかもしれない冷静さを感じてしまった。「そうだね…」と美咲は言葉を返しながらも、どこか心の奥に不安を抱えていた。


放課後、二人は図書室でまた会うことにした。美咲は、悠斗と一緒に過ごす時間が大好きだったが、彼が何を考えているのか分からなくなっていた。彼女は心の中で「どうしても聞きたいことがある」と思いながらも、その言葉を口にする勇気が出なかった。


図書室に着くと、悠斗は美咲に自分が借りてきた本を見せてくれた。「この本、面白いから一緒に読もう」と言って、彼は楽しそうに本を開いた。その姿を見て、美咲は少しだけ心が和らいだが、心のどこかに不安が残っていた。


本を読みながら、美咲はついに決心した。「悠斗、私…昨日のこと、ちゃんと伝えたいことがあるの」と言うと、悠斗は一瞬驚いた表情を浮かべた。「何かあったの?」


美咲は一瞬躊躇したが、思い切って続けた。「私、悠斗が好きだって言ったよね。でも、最近なんだか不安になってるの。悠斗は私のことをどう思ってるの?」その言葉が彼女の心を一気に軽くしたが、同時に不安も増した。


悠斗はしばらく考え込み、「美咲のことはすごく大切に思ってるよ。ただ、俺も色々考えてて…」と答えた。その瞬間、美咲の胸はドキリとしたが、続けて彼の言葉を待った。


「ただ、今は友達として楽しむことが大事だと思ってる。だから、焦らないでほしい」と悠斗は言った。美咲は少し落胆したが、同時に彼の真剣な表情に心が温まった。彼が自分の気持ちを大切に考えてくれているのだと感じたからだ。


その後、美咲は気持ちを整理しながら、悠斗との時間を大切にしようと心に決めた。「わかった、悠斗。私も焦らずに、今の時間を楽しむことにするね」と返した。


その日、二人は再び楽しい時間を過ごし、笑い合いながら図書室を後にした。美咲の心には不安が残っていたが、悠斗との友情がこれからどう進展していくのか、少しずつ楽しみになってきた。春の風が彼女の心を少しずつ解放していくように感じられた。


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