第3話

春の陽気が心地よいある日、美咲は放課後、友達の「綾香」と一緒に帰る予定だった。しかし、図書室で悠斗と過ごしているうちに、彼女は綾香との約束をすっかり忘れていた。悠斗と話していると、時間があっという間に過ぎてしまったのだ。


「美咲、もうこんな時間だよ。急がないと綾香ちゃんに怒られちゃうかも!」と悠斗が言った。慌てて時計を見ると、すでに約束の時間を過ぎていた。美咲はドキッとしながら、「本当にごめん、悠斗!すぐ行くね!」と立ち上がった。


急いで校門へ向かうと、綾香が待っている姿が見えた。彼女は不安そうな顔をしていて、美咲に気づくと、すぐに声をかけてきた。「美咲、どこに行ってたの?心配したんだから!」


「ごめん、悠斗と…」と言いかけたが、何かが胸に引っかかった。悠斗と一緒にいるのが楽しかったことを話すのが恥ずかしい気がした。彼女は「図書室で本を読んでた」とだけ答えた。


その後、二人で歩きながら、綾香は美咲に「悠斗ってどうなの?」と尋ねてきた。美咲は少し驚いたが、内心ドキドキしながら「普通だよ、明るくて面白い人だし」と返した。


「そうなんだ。美咲は彼に気があるの?」と綾香が続けて聞く。美咲は心臓がドキドキし、「そんなことないよ!」と慌てて否定したが、心の奥では「本当は彼が好きかもしれない」と感じていた。


帰り道、綾香は楽しそうに学校の話を続けていたが、美咲の心はどこかそわそわしていた。悠斗のことを考えると、彼の笑顔や優しさが思い出され、ますます心が高鳴った。


次の日、美咲は再び悠斗と図書室で会う予定だったが、心の中で彼にどう接するべきか考え込んでいた。悠斗が自分をどう思っているのか、友情と恋の境界線がどこにあるのか、まだわからなかった。


それでも、美咲は悠斗との時間を大切にしたいと思っていた。彼との関係がどう進展していくのか、期待と不安が入り混じった気持ちでいっぱいだった。これからの春の日々、彼女の心にどんな物語が待っているのか、楽しみで仕方がなかった。


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