第2話

放課後、美咲は図書室で悠斗と一緒に過ごすことが日課になっていた。彼は本を選ぶ目が鋭く、いつも面白そうな本を見つけてくれる。美咲は彼のセンスに驚きつつ、二人で本を読んだり、お互いの好きな作品について語り合ったりする時間がとても楽しく感じていた。


ある日の午後、いつものように図書室に向かうと、悠斗はすでに待っていて、「美咲、これ見て!」と手にしていた本を見せてくれた。それはファンタジー小説で、絵がたくさん描かれた美しい表紙だった。「これ、すごく面白いよ。君も絶対気に入ると思う!」悠斗の目は輝いていて、その熱意に美咲も心が踊った。


「ありがとう、悠斗。これ、借りてみるね!」と、美咲は笑顔で答えた。彼といると、まるで魔法にかかったように楽しい気持ちになれる。


その日の授業が終わり、二人は図書室でおしゃべりを続けていた。話題が尽きない中、美咲は思い切って自分の好きな本や作者について語り始めた。悠斗は真剣に耳を傾けてくれ、時折彼の感想を交えながら、美咲の気持ちを尊重してくれた。


「美咲、君の話を聞いていると、もっと色んな本を読みたくなるよ」と悠斗が言うと、美咲は嬉しさで顔がほころんだ。「本を通じて繋がるって、いいよね」と、彼女も返した。


そのとき、美咲は自分の心に小さな変化を感じた。悠斗と話していると、自分が本当に好きなものや、夢中になれることを見つけられる気がした。そして、悠斗の前では自分らしくいられると実感したのだ。


図書室の片隅で静かに笑い合う二人。周りの静けさの中で、心の中では甘酸っぱい感情が膨らんでいく。美咲は彼との日々が特別なものであることを確信し、これからの未来にワクワクしていた。彼女の胸の奥では、少しずつ恋の予感が芽生えていた。


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