第9話

少しのやりとりの後、男は「行こうか」と言って私の肩を抱くと歩きだした。




今来た横断歩道を戻ると理央ちゃんはまださっきの場所にいて私を見てくれていた。




私達が近付くと視線を携帯に落としてメールでも見ているしぐさをした。




男に肩を抱かれたまま通りすぎようとしたとき私はチラッと見たとき理央ちゃんと目が合った。





カールした長いまつ毛と吸い込まれそうな大きな瞳。



すれ違いざまに微笑むと私達とは反対方向に歩きだした。




私はそのまま歌舞伎町をぬけて男とホテル街に行った。





何件かある中からホテルを選ぶと男は部屋の写真があるパネルの前に私を連れて行った。




「どの部屋が良い?」



パネルを観るとどの部屋もキレイだけど、どの部屋が良いなんて選ぶ余裕はなかった。




「ど…どこでも…」



消え入りそうな声で言うと男は



「そう。じゃあここにしよう」



と言って写真の下のボタンを押した。"




部屋に入ると写真のとおりキレイな部屋。




そしてテレビでしか観たことのないような大きなベッドが目に飛び込んできた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る