第10話

「シャワーどうする?先に浴びる?」




後ろからかけられた男の声にビクッとした。




「わ、私は後からでいいです…」




慌てたように振り向いた私を見て男は笑うと



「じゃあ、俺から浴びてくるよ。そんな緊張しなくていいよ」




私の頭を優しくなでると上着を着たままバスルームに入っていった。



しばらくしてからシャワーの音が聞こえてきた。




私は自分のやるべきことを思い出した。




このホテルの住所と名前を理央ちゃんにメールで送る。




部屋を見渡すとガラステーブルの上にマッチがある。




手にとって見るとそこには名前と住所が書いてあった。




急いで携帯を取り出してメールを打つ。




打ち間違いがないか確かめてから送信ボタンを押すと画面が切り替わった。





メールがポストに入っていく画面が2、3秒映しだされた後、「送信しました」という文字がでた。




携帯を閉じると私は深呼吸のように大きく息を吐いた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る