転 温羅の怨念

学習会3回目 西暦2025年7月7日

第三回目です。

今日は七夕ですが、今日の講義はラブストーリーではなくホラーです。


明らかに後半の「守り神になる話」は、前半と作風が異なります。

元々、前半の吉備津彦と温羅の戦いの話があり、その後に追加されたものと思われます。


******

曝し物になった温羅の首は、大声を発して止まらない。

吉備津彦は部下に命じて犬に食べさせたが、髑髏ドクロとなっても止まらない。

その為、吉備津彦はその髑髏を吉備津神社の釜殿のかまどの下に埋めた。

******


この『吉備津彦-温羅伝説』の後半、『守り神になる話』の導入部と考えられます。

犬に温羅の頭を食べさせる必要はありません。そのまま埋めてもストーリーは成立します。

この犬を仕掛けた部下の名は、犬養建いぬかいたけるとなっています。

桃太郎物語をイメージさせる為、後付けの可能性が高いです。

ちなみに、1932年(昭和7年)の五・一五事件の内閣総理大臣の犬養毅は、この犬養建の子孫と言われています。

犬養毅の実家の名は元々犬飼だったらしいですが、犬養建に合わせて犬養にしたらしいです。

この伝説の起で温羅の凶暴さを簡単に説明していますが、この転では吉備津彦の残虐性を具体的に『犬に食べさせた』ことで表していると考えられます。

判官ほうがんびいきではないですが、読者に吉備津彦より温羅に肩入れさせようとしている感じが強いです。


また、倫理的には問題ですが犬に温羅の頭を食べさせたのは良いとして、なぜ、そのまま埋めたのでしょうか?

普通に考えれば、うるさい髑髏をたたき割り、その骨を分散して埋めます。

『吉備津神社の釜殿の竈の下』に埋めないと、『吉備津宮の釜鳴神事』にならないからでしょう。『釜鳴神事』の伏線ですね。

『吉備津宮』の名は、吉備津彦の名と同じく、この温羅を成敗する話、つまり吉備の国を征服し終えないと出せない名前です。。

その様に考えると、温羅(の首)を埋葬した場所、つまり温羅を祭る場所があり、後に吉備津神社とその釜殿になったと考えると筋が通ります。


内容的には、『結』である釜鳴神事の伏線ですね。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る