第6話 清州龍國は悪魔か
「あいつは何者だ」
旧体制側のあちこちで囁かれた。
「こんなことができるわけない」
「しかし、アメリカの暗殺さえ失敗したのだ。我々の陰謀や関係ではどうにもならぬ」
「民衆はなぜ奴に酔うのか、これではまるでヒトラーだ」
清州龍國は突如、彗星のようにあらわれた。
出自は高知県で、元は下級武士であったが、いわゆる郷士の出身で、明治以降、代々商家を営んでいた。
東大を卒業し、暫時、総務省に勤めていたが、無所属ながら県議会議員として立候補し、過激でありながら人々を魅了する演説で県内を席巻し、初出馬で初当選、一期務めて衆議院議員として出馬、トップで当選した。この段階でも無所属であった。
与野党から声がかかったが、敢えて中規模の野党”真改新党”を選び、強引に過半数を上回れるような候補者数を立て、最低の予算ながらも、莫大な借金をして選挙資金を工面し、衆議院解散選挙で一気に単独で過半数を超える政党となった。
大衆の圧倒的人気。
「なぜだ」
まるで、魔法であった。
「そう、まるで、狐につままれたようだ」
「魔法というよりは奴そのものが悪魔だ。国民は騙されている」
しかし、一切の誹謗中傷は続かなかった。マスコミでもSNSでも。
「確かに悪魔としか言いようがない」
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