第13話
店長に事情を話し仕事を早退させてもらい、タクシーで桜ケ丘病院へと向かった。病院に着くと、すでにひよこ組の保護者がたくさんいて自分の子を抱きしめている光景が目に飛び込んできた。
皆、私と同じ心境だっただろう。
「ママ~!」
「星来!」
私の姿を見つけた星来がこちらに走ってきた。しゃがみ込み星来を抱きしめた。そして気になっていたおでこを見れば、先生が言っていたように少し赤く腫れ、うっすらと血が滲んでいる。
「おでこ痛くない?」
「いたくない! げんき!」
「そっかそっか。よかった」
ギュッと我が子を抱きしめていると、担任の先生がこちらへとやってきて経緯を説明された。
突っ込んできた車を運転していたのは七十代の女性でアクセルとブレーキを間違えて、そのことで混乱に陥りハンドル操作を誤ったということだった。
間一髪のところで園児や先生たちはひとりも巻き込まれることなく済んだそうだ。大事故にならずに済んだのは、そこに居合わせた男性が列に車が向かってくることにいち早く気づき、とっさに星来や隣にいた子を抱きかかえその場を離れてくれたからだと聞いた。
それがなかったらと思うと、ゾッとする。
みんな無事で本当によかった。
「このようなことになってしまい申し訳ありませんでした」
「いえいえ。先生たちは悪くないですから。あの、助けてくださった方はいまどこに」
とにかく助けてくださった方にひと言お礼が言いたい。
「……あの、それが」
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