第3話 突入!

 田熊はマサカリを見据えたまま、冷静に行動を考える。「ここは全てをかける場面だ」と自分に言い聞かせ、心の中で戦略を練る。狗飼が少し後ろで無線を持ちながら、緊張した面持ちで見守っている。


「田熊さん、援護が来るまで持ちこたえましょう!」狗飼が叫び、田熊も頷いた。だが、後ろで繰り広げられる銃撃戦の音は、彼の耳をつんざくように響く。


「やるしかない!」田熊は一瞬の決意を固め、前に進んだ。彼は飛び込むようにして橋の中央へと向かう。その瞬間、マサカリが指示を出し、部下たちが一斉に田熊に向かって発砲する。


 弾丸が鋭く空気を切り裂く中、田熊は体を低くして横に飛び、射撃を避ける。そして、狗飼と一緒に橋の柵を盾にして身を隠した。


「今だ!反撃しろ!」田熊は叫び、再び銃を取り出してマサカリの部下たちを狙う。冷静さを保ちながら、彼は一発、一発と的確に弾を放つ。


「そいつを止めろ!」マサカリが叫ぶと、残った部下たちが再び銃を構え、反撃に出た。田熊は一瞬後ろに下がり、再び撃ち返す。


 その時、遠くから聞こえてくる足音。機捜隊の援護が到着したことを告げる音だ。田熊の心の中に希望が灯る。


「援護射撃が来たぞ!行くぞ、狗飼!」田熊は叫び、二人は一斉に前に出た。


 援護の銃声が響き渡り、田熊は仲間たちと共に前進する。マサカリの顔に焦りが見え始め、彼は後退りしながら仲間に指示を出す。

「全員、守れ!あいつを追い詰めろ!」

 だが、田熊たちの勢いは止まらない。田熊はさらに前へと駆け出し、ついにマサカリにたどり着く。

「終わりだ、マサカリ!」田熊は力強く叫び、銃を向けた。その瞬間、耳元で笛の音が響き渡る。背後の森から、何か不気味な影が現れた。


「田熊、後ろだ!」狗飼の叫び声が響き、田熊は振り返る。イワノフが現れ、冷徹な目を光らせていた。彼は武器を構え、田熊に向かって一歩踏み出す。


「お前はここまでだ。俺の仲間の前で死ぬがいい」イワノフの言葉が、緊迫した空気をさらに引き締める。


 田熊は、背後からの援護とイワノフの出現に圧倒されながらも、決して後退しない意志を示した。「まだ終わってはいない。俺には仲間がいる!」


 その瞬間、機捜隊が突入し、場面が一変する。田熊はチャンスを見逃さず、イワノフに向けて銃を撃った。今まさに運命が揺れ動こうとしていた。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る