55話 3人が遊びたいって言ってる
「ふんふー……ん?」
ぴこん。
平和な週末の前の金曜の夜。
実に平和で素敵だなって思いながら、日課のストレッチとお顔のケアしてたところにスマホが鳴る。
「んー、誰だろ。 ……おや?」
ちょっとスマホを見なかったうちに、3件。
なんだか最近「3」って数字に妙に親近感あるなぁ……?
そんなことを思いながら開くと、その親近感の正体が。
「ナナちゃん……紅林さんに、シーニュちゃん……白鳥さん、んでブラックツリーちゃんもとい黒木さんかぁ」
それらは偶然にも同じ時間に「アキノちゃん」のDMへの連絡。
そしてまたまた不思議だけども、みんなそろって「今週末に遊びたい」だって。
女の子は仲良くなるといろんなリズムが同調するし、3人を構ってから同じくらい時間が空いたってことを考えると、不思議ではあるけども摩訶不思議ではないけど……?
「ふぅむ……アキノちゃんとしては行かざるを得ないか……」
とりあえず断る選択肢はあり得ないもんね。
『何故』
『行くのか』
「え、だって女の子たちからデートのお誘いあったら行くでしょ」
『死地ぞ』
「や、僕、あの子たちとは適切な距離感で遊ぶつもりだから大丈夫でしょ」
『適切……?』
なんか一時期モテてたけども、最近はそこまでじゃないし。
女の子は熱しやすく冷めやすい生き物だから、きっと飽きたんだよ。
ほら、僕が好きって言ってたのもきっと、助けたときのお礼としてのリップサービスだろうしさ?
適度な冷却期間を置くのが複数人をキープするコツなんだ。
『本当か……?』
や、本当本当。
女の子はすぐに惚れるけど、その愛はすぐに別の方向行っちゃうから。
だから継続的に繋ぎ止めない限りはすぐに飽きられるから大丈夫大丈夫。
『本当か……?』
本当だってば。
僕はくわしいんだ。
前世くわしくなかったみたいだけど、今世はすごくくわしいんだ。
特に小中学校生の女の子たちの生態に関しては飛び抜けてるんだから。
「んー、せっかく誘ってくれてるし、断っちゃうのはもったいないし」
『命が惜しくはないのか?』
「?」
まーた幻聴と話してたなぁ僕……最近ヤバいかも。
「……まぁいいや、んじゃ3時間ずつくらい離せばスケジュール組めるでしょ……お泊まりとか前提の相手じゃなくって普通の友達同士だから、ばいばいしてから化粧室でお色直しして移動してっての含めて3時間で済むはず」
彼女たちへお返事を返していく。
「その日は忙しいけど君に会いたいから、ー時からー時までだけど良いかな?」って聞いて。
「もちろん良いよ」ってくるから「んじゃ待ち合わせは~」って感じ。
順番は――ふむ。
「朝が強そうな白鳥さんもといシーニュちゃんが、午前からお昼」
通学中のお手伝い、あと具合悪い日以外は基本的に予鈴の30分前くらいには来てる印象の彼女を選ぶ。
朝が強いって良いよね。
「んで午後のおやつの時間は、黒木さんもといブラックツリーちゃん」
あの子は別に朝が弱いわけじゃないっぽいけども、あの子にはもっと睡眠時間摂ってもらってもうちょっと肉付き良くしてほしいし。
あと、あの子はそんなに食べないし、ならスイーツをちょっとってのをした方が良いかなって判断。
「夕方と夕飯は紅林さん、ナナちゃんっと」
出会いも夕方だったし、適度に遊んでる印象の彼女にはこの時間帯がぴったりだ。
運が良ければ彼女の取り巻きのギャルたちも堪能できるかもっていう淡いオプション付きで。
『嘆息』
『腹、首……1か所足りぬ』
『3度目で終いか』
『あの赤髪が止めか』
「ふんふーん♪」
あの子たち、普通にかわいいって言うか学校でもトップクラスだからなぁ。
あんな美少女たちを1日で3人も堪能できるって、僕、前世で良いことしたのかも。
『………………………………』
『………………………………』
あの子たちを偶然にも、ちょっとした危険から救ったのはもうそれなりに前のこと、あれほどまでの熱量で好き好きって来てはくれないだろうけども、普通に好意的に接してくれるだけで僕は嬉しいんだ。
普段のぼさぼさメガネ女子だと、あの子たちときゃっきゃうふふはできないからね。
もちろん普段とのギャップで堕とすってのもいいアイデアなんだけど、今回はそういう方向性じゃないから。
「心安らぐハムスターな銀藤さん」は3年間続けなきゃいけないんだ、大切にしないとね。
『熟成されるとは思わないのか』
『考えが及ばないのだろうよ』
よーし。
せっかくなんだ、楽しいデートプラン、考えちゃおーっと。
◇
「……そ。 忙しいってのは、ウワキするのに忙しいってことね。 みんな『自分を選んで』ってのをぼかして書いてたのに、それは全部スルーなんだね、アキノちゃん」
「そのようね。 普段から遊んでいるからか、ちょっと調べたけど今流行りのスポットとか――ええ、裏を知らなければ忙しい中に作ってくれた、素敵なタイムスケジュールよ? アキノちゃんさん」
「わたしとは……ごはん食べないんだ。 わたしは――ただの、おやつなんだ。 そうなんだ、お姉さん」
「………………………………」
「………………………………」
「………………………………」
十数回の吹き出しが、行き交う。
「ん。 じゃ、そういうことで」
「ええ、当日を楽しみにしているわ」
「……たのしみ。 うん、ほんとうに、たのしみ」
◆◆◆
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