第2話 軽やかに知り合い(1)

「Good afternoon, everyone... (こんにちは、皆さま……)」


 機内が明るくなり、アナウンスにうながされて目を覚ます。まだ夢を見ているような気持ちのまま、目をこすり、口元を拭う。


(何時だろう……)


 直後の機内放送で告げられたのは『午後三時』だった。そんな馬鹿なと一瞬戸惑い、それから、『ニューヨーク時間』になったことを理解する。


(本当に行くんだ、ニューヨーク)


 昔、テレビのクイズ番組で『ニューヨークに行きたいか』と叫んでいたらしい。今は令和だけれど、やっぱり『行きたいか』と聞くなら、きっと、ニューヨーク。そう言われるのがどこよりも似合う街。

 カーテンを押し上げ、外を見る。

 空は青。いつもと変わらないように見えるけど、ここはもうアメリカの空だ。


(さあ! まずはメイク!)


 私は気合を入れ直した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る