第5章: 学園の新たなディーバ(パート2)
放課後、玲香(れいか)は自信満々に音楽部の部室へと向かって歩いていた。今回は朝の恥ずかしい場面を繰り返さないよう、正しい時間をしっかり確認していた。廊下で一度周りを見渡し、目撃者がいないことを確認すると、優雅に手を上げ、ドアをノックする準備をした。
ちょうどその時、突然ドアが開き、にこやかで少し緊張気味の花(はな)が現れ、ぎこちないスペイン語で言った。
—「¡Bienvenida… amigos!(ようこそ…友達!)」
続いて花は後ろにいるアレックスの方を振り返り、彼の反応をうかがった。アレックスは肩をすくめ、「まぁまぁ」といった感じで手を50/50に動かし、彼女のスペイン語の試みに「まぁまあ」と答えた。
玲香はノックしようとしていたポーズのまま動かず、花の挨拶を頭の中で処理していた。数秒後、気を取り直し、優雅にため息をついてから、まるでランウェイを歩いているかのように堂々と部室に入っていった。顎を少し上げ、自信に満ちた表情で。
彼女の劇的な入場と、部のメンバーの日常的な雰囲気の対比に、アレックスは思わず微笑み、他のメンバーも控えめに笑った。
中に入ると、玲香は部員たち一人ひとりを見つめ、まるでその人たちの潜在能力を評価しているかのように観察を始めた。まずは花、アキ、ユイに視線を向け、独り言のように小さくつぶやいた。
—「うーん…姿勢をもっと良くしたほうがいいわね…それから、あなたは声の出し方をもっと改善する必要があるわ、パワーが足りないわね…」
彼女の視線はアレックスの後ろに隠れようとしているさくらに止まり、まるでどこかで会ったことがあるかのようにじっと見つめた。さくらは緊張して少し縮こまった。
最後に玲香はアレックスに視線を移し、じっくりと観察を始めた。その視線に、他のメンバーはどこか気まずい雰囲気を感じ取った。アレックスはただ眉を上げ、冷静を保とうとしていた。
沈黙を破り、部のリーダーとしてアレックスが一歩前に出て尋ねた。
—「何の用で来たんだ、玲香?」
玲香はそのまま自信たっぷりに一歩前に出て、力強いポーズを取った。
—「私はここにボーカリストになるために来たのよ!」と、決意に満ちた笑みときらめく瞳で宣言した。
一瞬の沈黙の後、アキ、ユイ、花、さくらが同時に答えた。
—「いや、ごめんね。」 —「もういるから。」 —「無理です。」 —「えっと…たぶん無理かな。」
さらには、さっきまでアイドルが部に入ることを楽しみにしていた健太でさえ首を横に振り、「いや…たぶん無理だな」とつぶやいた。
玲香は劇的なポーズのまま完全に固まり、驚愕の表情でその場に立ち尽くした。
—「え?どういうこと?」目を大きく見開き、彼女の驚きの表情はとても素直で、部室内の全員が笑いをこらえるのに必死だった。
—「どうして?募集ポスターにはボーカリストが必要って書いてあったじゃない!」と、しわくちゃのチラシを取り出して熱心に見せた。
部員たちはお互いに視線を交わし、アレックスを指さした。
—「遅かったんだ、もういるよ」と、花がアレックスを指して楽しそうに微笑んだ。
玲香は驚きと戸惑いの表情でアレックスを見た。みんなが本当に彼を指しているのを見て、思わず直接問い詰めた。
—「あなたが…ボーカリストなの?」と、半信半疑と困惑が混じった表情で尋ねた。
アレックスは思わず、ほぼつぶやきのようにスペイン語で言った。
—「Ay, wey…(ああ、参ったな…)」
その反応に、玲香はさらに驚き、ようやく自分を取り戻し、腕を組んでアレックスを挑戦的に見つめた。
—「そうね…」と、毅然とした態度で続けた。「もうボーカリストがいるなら、私のレベルに達しているか見せてもらうわ。」
玲香の態度に、部のメンバーたちは微笑みを浮かべ、彼女の演劇的な一面に楽しんでいる様子だった。一方、アレックスはちらりと健太を見て、彼が満足そうに微笑んでいるのを見て、この状況がますます面白くなってきたことを実感した。
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