雪乃からの連絡

入学式を終えたその夜。

『失礼します。明日、お会い出来ませんか?』

スマホのメッセージアプリに、立花さんからそんなメッセージが届いた。

今日、帰り際に立花さんと連絡先を交換していたのだ。ちなみにうちの母さんは立花さんのお母さん、それに何故か立花さん本人とも連絡先を交換していた。

それはともかく、突然のメッセージに驚きながらも俺はすぐに返信する。

月曜日は休校日で生徒も余暇や休息に当てるよう推奨されているため、俺も特に予定を入れていない。会うことに支障はない。

『いいけど、何かあった?』

『詳しくは、これから電話でお話ししたいのですが、よろしいですか?』

『いいよ』

返信すると、少し間をおいてメッセージアプリの音声通話機能で着信があった。

 

「もしもし、立花です」

考えてみれば、女の子と電話で話すなんて初めてのことだ。そう思うと緊張してきた。

「うん。それでどうしたの?」

「学校の勉強のことで、相談したいことがありまして……」

「いいけど……俺も高校の勉強なんて初めてだから、力になれるかわからないよ?そもそも、勉強もあんまり得意なわけじゃないし……」

思ってもいない話だったが、俺も正直に答える。

こういうことは最初にはっきりさせておいたほうがいい。

ちなみに俺は私立の大学附属中学に通っていた。比較的偏差値高めの難関校と言っていいレベルの学校だったが、その中で成績は真ん中くらいだから勉強は得意とは言えなかった。

 

「そうですか……それでも、高橋君に相談したいです」

声を聞くだけでも立花さんを真剣なのだとわかる。

それなら俺も出来る限り応えるしかない。

「わかったよ。どうすればいい?」

「本来ならお願いする私から出向くのが筋ですが、申し訳ありませんが明日の午後三時に、西沢の南口駅前に来ていただけませんか?」

「わかった。じゃあ、その時間に行くよ」

「ありがとうございます。では明日、お待ちしていますね」

こうして通話が終わり、俺は図らずも初めて学校外で立花さんと会うことになった。でも、デートではないのが少し残念だ。

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