第2話 訪問
さびれた工場の敷地を出て、二人は徒歩で明子のアパートに向かった。
二人は無言で郊外の国道沿いの歩道を十分ほど歩き、明子の住む賃貸アパートの前に着いた。
正敏は荷物運びを手伝わされたことがあった。半年前、明子の実家に姉の内縁の夫が転がり込んできたので、明子は実家を出てアパートに引っ越したのだった。
外階段を上がってドアの前に来た。明子がドアを開けて、正敏が上がり框に荷物を置いた。正敏が「それでは」と言う前に、「部屋に入って。お茶を入れるから」と明子が言った。やっぱりそうなるのか、と正敏は思った。
正敏はくつを脱いで部屋に上がった。明子がコーヒーテーブルの前の座布団に座れという。すぐ横にはベッドがあって、窓際の枕元に沿ってぬいぐるみが並べてある。
明子はガスコンロに火をつけて「コーヒーと紅茶、どっちがいい?」ときいた。「コーヒーください」と正敏。
明子は二人分のカップと甘い駄菓子をのせたお盆を、コーヒーテーブルに置いた。「どうぞ」と明子にすすめられ、「いただきます」と正敏。
「砂糖とミルクはいらないんだっけ」と明子。「ええ、ブラックで」と言って正敏はコーヒーをすすった。
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