第31話 女友達との甘美な朝その1


 「うーん……」


 なんだろう、やたらと下半身が熱い。

 例えるならそうだな……お風呂に入ってるときのような感じか。心地のいい温もりに包まれてるからか、身も心も預けたくなってくる。

 すっげー気持ちがいい、願わくばこのお風呂にずっと浸かっていたい。

 想像以上に温かいから、あっという間にのぼせそうだけどな。


 と、ぼんやりとした意識のなかで楽しみつつも、俺の脳裏にはひとつの疑問が湧いていた。

 ――俺、お風呂入ってたっけ? と。


 陽咲とえっちしたあとに、おっぱいを吸ったとこまでは覚えてるんだが……その先の記憶がない。

 俺そのあと起きて風呂に入ったのか? んで、そのまま湯船で寝こけてるのか?


 「――ヤバッ! さすがに死ぬだろそれは!? ――あれ?」

 

 命の危機を覚えて目を開けると、視界の先に広がるのは自室の天井だった。てっきり風呂場だと考えてたのに、俺がいたのはベッドの上らしい。

 カーテンの隙間からは日差しが差しこんできて、俺の顔を照らしている。眩しいぐらいの朝日を浴びながらも、変わらず疑問は尽きない。

 なんせ、いまも下半身を心地の良い温もりが包んでるんだもの。現在進行形で半身浴状態だもの。気持ち良すぎてこのまま二度寝しそうだ。

 

 「てかこれ……下半身というより俺の息子じゃないか……?」

 

 意識を集中させるとやけに息子が熱いのがわかる。でも、がっつり反応してるときとはなんか違うんだよなぁ。

 湿っぽいというか、やたらと水っぽいというか。


 この感じ、小さなころに経験がある。

 寝る前に飲み物を飲んでしまって、朝起きたら布団が大惨事になってたときのことを。


 「まさか、この歳になって漏らしたのか――!?」


 俺は慌てて毛布をひっぺがし、視線をそっちへ向けて――目ん玉が飛び出るかと思った。

 だって、あまりにも煽情的すぎる光景がそこには広がってたんだからな。


 「――あ♡ おふぁよ♡♡」

 「ひ、陽咲!? おまっ、なにやって――うっ」

 「んっ……♡ ごちそーさま♡♡ 朝ご飯はもう出来てるからさ、着替えてからきてね♡ あ、着替えはここに置いてあるから♡」

 「え? あぁ……」


 そのまま何事もなかったかのようにくるっと背を向け、部屋を去っていく陽咲。

 突然のことに俺は呆然とするしかない。なんだこれは、夢か? まぁ、陽咲が普通にいる時点で俺の妄想だろうけど。

 うんうんうなずきつつ、それでもものは試しにといった感じで頬っぺたを抓ってみると――いや普通に痛いんだが。現実じゃねーかこれ!

 

 「っ、朝っぱらから刺激強すぎだろ……めっちゃくちゃ気持ちよかったけど……」


 起きたことを噛みしめるように、俺は呟く。

 口による刺激と、陽咲のひょ〇とこフェイスからもたらされたエロのダブルパンチが、脳みそをガンガン揺らしている。

 気をしっかり保ってないとそのままノックアウトされそうな威力だ。


 「――って、余韻に浸ってる場合じゃないか。さっさと着替えてリビングに行かないとな」


 俺は気付けがてら頬っぺたをパチンと叩き、着替えを始めるのだった。

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