第4話 姉弟愛

「明彦、わたしはこの日を待ってたのよ」と恵子。


「え?」と明彦。


「ずっとわたしの気持ちを伝えたかったの」と恵子。「本当はあんたに気づいてほしかったけど、あんた、鈍いから。」


「ぼくだって姉さんのこと好きだったよ」と明彦。


「知ってるわ」と恵子。「あんた、去年腕を骨折したときお風呂に入れてあげたら、私の体を見て勃起させてたでしょ。」


「気がついてたの?」と明彦。


「もちろんよ。それから海水浴行った時も、わたしの水着姿をガン見してた」と恵子。「寝間着のときはちら見してるでしょ。」


「ちょっと気になって・・・」と明彦。


「ちょっとなの?」と恵子。


「すごく気になってた」と明彦。


「エロガキね」と恵子。「でも、それは愛とは言わないわ。」


「うん。そうだね」と明彦。


「認めるのね」と恵子。「さっきの愛してるっていうのは嘘?」


「そんなことないよ」と明彦。


「じゃあ、もう一回言いなさい」と恵子。


「恵子姉さんのことを愛してます」と明彦。


「ヘタレで腰抜けのあんたにしてはよく言えたわ」と恵子。「褒めてあげる。」


「よかった」と明彦。


「でも、言葉だけじゃ不十分よ。行動で示してもらうわ」と恵子。


「へ?」と明彦。


「当たり前でしょ」と恵子。「言葉だけならなんとでもいえるわ。」


「何をするの?」と明彦。


「決まってるでしょ」と恵子。「するのよ。」


「ここで?」と明彦。


「わたしの部屋でよ。これから」と恵子。


「そんなに急がなくてもいいでしょ?」と明彦。「今日はキスしたし。」


「だめよ」と恵子。「他の女に先を越されたくないわ。」


「ぼくは誰とも付き合ってないよ」と明彦。


「知ってるわ。だけど信用できない」と恵子。


「なんで?」と明彦。


「あんた、顔だけはいいから、そのうち女の子から言い寄られるわ」と恵子。「そのとき、あんた、姉のことが好きだからって断れるの?」


「たぶん・・・」と明彦。


「ほら見なさい。あんたみたいなヘタレ、信用できるわけないでしょ」と恵子。「押し倒されたら、そのままずるずるいくタイプよ。だから先にやっておくの。」


「そんな無茶な。約束するよ、誰ともお付き合いしないって」と明彦。


「あんたの言葉からはまるで真剣さを感じられない。そんなの気休めでしょ」と恵子。「それに、あんたが何をためらっているのか分からないわ。」


「まだ心の準備が・・・」と明彦。


「女の純情よりも大事なの、それ?」と恵子。




「幸せよ」と恵子。「これで気が済んだわ。」


「本当にこれで良かったの?」と明彦。


「ええ」と恵子。「これでわたしは明彦の女よ。あんたはわたしに何をしてもいいわ。」

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