第6話 俺は大物ゲーム配信者のはずだろ......

「いやー剱持さん、めちゃくちゃ強いね~」


「ふふふ、これでも昔はゲーム結構やってたからね!」


「剱持さん、すごく強かったです!私も見習いたいです!」


「お、那雪ちゃんいいね!今度ウチ来て遊ぶ?」


負けた。完膚なきまでに叩き潰された。

むしろ最下位だった。いやいや、おかしいだろ。

俺は登録者100万人超えの大物ゲーム配信者のはずだろ。(自意識過剰)

最下位なんてとるはずがない。きっと何かの間違いだ。

は、ははは。だが、ゲーム機には4位の欄に[kuratake]と俺の名前が書いてある。

夢ではないかと頬をつねるが、痛い。

こんなはずじゃなかった。こんなはずじゃ......俺はどこで間違えたんだ......?どうすれば良かったんだ......?理沙がキメ技を放つ前に上Bを出していれば絶対に勝っていた......

「いやそれ以前にゲームスタートから陽輔と八代さんに気を取られず、理沙に対してラッシュを叩き込めばよかった。あーでもそれだと理沙をキルした後に二人にやられる可能性もあるな......となると陽輔か八代さんのどちらかを先に仕留めたあとアイテムを拾って回復して理沙に挑んだほうが良いのか?もしくは中盤までライフを2つ以上残し続けt」


「も~詩恩、何ブツブツ言ってんの?」


理沙に声を掛けられ、俺は心の声が外に漏れていることに気づいた。は、恥ずかしい......


「く、倉竹さんも強かったですよ!」


ああ、八代さん、別に慰めなくてもいいんだよ。

今の俺にはそんな優しい言葉、心にしみて逆に痛いよ......


「倉竹、八代さんの言う通りだよ!今日は運が悪かっただけだって!きっと次は勝てるよ!!」


ガハッ、陽輔があまりにも眩しすぎる......二人とも、ありがとう。

ここはなんて優しい世界なんだ......


「でも詩恩、私だけじゃなくて、二人にも負けてるじゃん。あれれ?この前私のこと弱いとか言ってなかった??」


おま...せっかくの優しい雰囲気がぶち壊されたじゃないか!お前はだまっちょれ‼


「きゃ、きゅ、こ、今回はあえて負けを譲ってやったんだ!次はかぁ⤴ 、必ず勝つ!」


理沙に煽られ、反射でダサい捨て台詞を吐いてしまった......

しかも普段大きな声を出さないから変に声が裏返った......


「ふ~ん。まあ次も私が1位をとるけどね!」


こ、コイツめ......完全に俺のことを煽ってやがる......今に見てろよ理沙……絶対に見返してやる……!


「もう一回だ!俺のおごりでいいからもう一回戦させてくれ!!」

「えー別に私はいいけど、みんなは?」

「俺もいいよ~」

「私も大丈夫です!」


理沙の問いかけに陽輔と八代さんが答えた。よし、これでリベンジできる!この屈辱を、絶対に晴らしてやるッ!!

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