第28話 銅山へ
僕たちはサキさんの取ってくれた宿に1泊し、次の朝、銅山へと向かった。
「前回は、ここでノーマの襲撃に会ったんだよな」
「あの時は肝が冷えましたね。カオルさんが死にかけて」
「そうだな。でもあの時は必死だったんだ。全滅する可能性もあったからね」
「私は……、ヴァイエイトでノーマを攻撃できませんでした」
「それは仕方ないさ。人間を殺すなんて、子どものすることじゃない」
「僕はメリクリウスでノーマの攻撃を防ぎきれなかったのぜ。そのおかげでカオルが身を挺してかばってくれたのぜ」
「最強の盾にも限界はあったのかな。いや多分、経験値不足かな。モナミがこれからメリクリウスを何度も使っていくうちにレベルアップしていくさ」
「私は何もできませんでした」
「サキさんは……、そうだな、この中では1番普通だからね。『魔法使い』を相手にするのは難しいさ」
「何かしんみりしてきましたね。皆さん過去を悔やみに来たのではないでしょう。カオルさんの金策のために来たはずです。前を向きましょう」
「そうだよ。ライムさんの言うとおりだよ、みんな。あの時は失敗したかもしれないけれど、ノーマはもう撃退したんだ。当分の間、仕返しに来るとも思えない。今は僕の金策に協力して下さい」
「そうですね。今はノーマのことを考えるのは止めましょう」
「カオルさんの金策を手伝いましょう」
「金策が成功したら、お菓子を買ってくれだぜ」
「そうですね。私も何か買ってもらおうかしら。みんなで住むお家なんてどうかしら、そうしたら、カオルさん、誰の目も気にせずに私たちといちゃいちゃできますわ」
「あ、それいいですね。私も賛成です」
「ちょっ、何てことを言うのですか、ライムさん。アキミちゃんも話に乗らないで。それにみんなお嬢様育ちじゃないですか。メイドさんが全てやってくれた、ミャタさんのお屋敷から、全部自分でやらなければならないお家になんか簡単に引っ越せないでしょう」
「あら、私はずっと1人で生活していたから、大丈夫よ。それからカオルさん、私と2人でくらしましょうか」
「あらライムさん、抜け駆けはよくないですね。私はメイド長になる前は下積みとしてメイドとして仕事をしていましたわ。炊事洗濯に料理、1通りこなせますわ。あっちの方だって、ふふふ」
「私もがんばります」
「僕もがんばるのぜ、カオルーー」
そんな会話をしながら、僕たちは銅山の最深部へとたどり着いた。
そして、そこやつは居た。
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