第18話 『魔法使い』/『転生者』
「ここは……」
僕は目が覚めた。見知った天井である。ベットに寝かされていた。
「確か、老人の魔法を受けてそれから……」
どうやら助かったらしい。からだはまだ痛かったが、上半身を起こすことはできた。
「誰かいませんか。サキさーーん」
「あ、無事目が覚めましたね。今日あたり目を覚ますと、お医者様がおっしゃっておりました。喉が渇いていますか。お水を飲みますか?」
「ああ、サキさん、水をくれませんか」
「カオル様はまだ起きたばかりで、からだは痛いはずです。今回は私が飲ませます。恥ずかしがらないでくださいね」
先回りをされてしまった。事実、からだは痛く、腕も動かなかったので、言われるがまま、サキさんに水を飲ませてもらった。
「もう少し寝ていてください。お腹が空いたなら、後で消化に良い食べ物を作ってきますね。カオル様は1週間も寝ていらしたのです。お腹が空いて当然です」
「そうだな、何か食べ物を持ってきてほしい。その後でいいから、僕が倒れた後に起こったことを教えてくれ」
「そうか、あの老人はノーマと名乗ったのか。そしてこの世界を憎んでいる……」
僕はおかゆのようなお腹に優しい食べ物をいただいた後に、サキさんからその後の話を聞いていた。今この場には、アキミ、モナミ、ミャタさんもそろっている。シロも寝ていた。
「カオル殿、『魔法使い』とは一体何者なのですか」
「僕は、別の世界から転生してきたのです。そして僕の国で『魔法使い』とは非常に不名誉なことなのです。しかも魔法も使えません。だから『魔法使い』に関してはできれば触れないでほしい」
「そうですか。『魔法使い』が不名誉な国があるのですね。ノーマもそれを知っていたという事は、同じ『転生者』なのですか?」
「たぶんそうかもしれません。後は僕の推測なのですが…」
僕は自分の身にも起こるかもしれない、可能性の話をした。
「ノーマは『魔法使い』としてこの世界に転生してきた。そして活躍したのだと思います。しかし活躍して有名になりすぎた。そして超えてはならない一線を超えてしまった。その結果『魔法使い』じゃなくなったのだと思います。『魔法使い』の能力を失うのは簡単です。その結果、『魔法使い』じゃなくなった、ノーマはお役御免になった。今まで持ち上げられていたのに、手のひら返しをされて、さぞかし悔しかったのでしょう。一度『魔法使い』の資格を失ったら、二度と元には戻れないのです。それで世界を
「なるほど。今まで『魔法使い』として、ちやほやされていたのに、『魔法使い』じゃなくなったとたん、冷たくされたとうことか」
「カオル様そんなに簡単に『魔法使い』の資格は失われるのでしょうか」
「そうですね。はっきり言って簡単です。ただし、『魔法使い』が重宝される国ならです。現に僕は元の国でも『魔法使い』でしたが、不名誉なものだったので、有名にもなりません。だから一生『魔法使い』として生きるものだと思っていました」
「そこの理由は話せないのですね」
「ごめんなさい。話してしまえば楽になるかもしれないですが、今は話せないです。話つかれました。少し休んでいいですか」
「カオル殿、長時間話させて済まなかった。わしらは退散しよう。ゆっくりと休んでくれ」
「カオルさん、ゆっくりと休んでください」
「カオルーー、元気出せのぜーー」
僕は横になりながら考えた。
ノーマは『魔法使い』軍団を作っていると言っていたらしい。ということは『魔法』を大量に放つということだ。モナミの『メリクリウス』では防ぎきれなかった。
それなら魔力無限大を持つ僕が魔法を全て防御するしかないだろう。
しかし、この国には『魔法使い』はいない。教わる人がいないのだ。独学で学んでいる時間はあるのだろうか。
ノーマの研究はどれくらい進んでいるのだろうか。
僕はそんなことを考えながら眠りについた。
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