第8話 逆転の発想でハーレムを

 カーサの村は町から半日ほどの所にあるという。

 その間にアキミとモナミは僕になついてきた。

 サキさんは護衛という立場で、それ以上親しくするつもりは無いようだった。お風呂での雰囲気は何だったのだろうか。サキさんとの距離の取り方は難しい。


 正直、美少女になつかれるのは嬉しい。

 生きててこんなことは初めてである。

 サキさんはまぁ、4六時中一緒にいられるのだから、役得と考えてもいいだろう。


 モテ期が異世界で来るとは思っていなかった。

 現世でモテ期がこなかったこそ『魔法使い』になれた。という考え方もできる。


 アキミとモナミは僕が『魔法使い』だからなついているという感じではないが。若い男性が周りにいなかったため、父親代わりといった感じだろうか。

 しかし、手を出したら全てが終わる。アキミとモナミは見た目は中学生位だからな。アザレアでは許されるのかもしれないけれど、自分の倫理的に完全にアウトである。


「アキミ、モナミ。君たちは何歳なんだい?」

「カオル様、女性に年齢を尋ねるのは失礼ですよ。ちなみに私は28才です」

「15才です」

「15才だぜ」


 あらためて確認してよかった。日本で手を出したら完全にアウトな年齢であった。

 サキさんもさりげなく自分の年齢を言いましたが、何かのアピールでしょうか。わからないです……。


 逆転の発想をしてみる。

 手を出せない女性を集めてハーレムを作れば、『魔法使い』を維持したままいられるのではないだろうか。

 なに、39年我慢してきたんだ。それが死ぬまで続いたところで何の支障もあるまい。


 それよりも、理想のハーレムを作る方が大切であった。

 よし。目標が出来た。このまま『魔法使い』としてハーレムを作ろう。

 まずは、ハーレムを作れるだけの財産が必要だな。名声も必要か。そうなるとやはり、『魔法使い』として強くなければなるまい。


「ここがコート村です。カオル様」

 サキさんには、様付けで呼ぶのを止めてもらおうとお願いしたがダメだった。単純に恥ずかしいのだが。少しづつ仲良くなれたらいいな。

 『元婚約者あり』は自分の中では手を出してはいけない対象である。つまり、サキさんはハーレム計画の1員である。


「やっとコート村に着きましたね」

「コート村遠いんだのぜー」

「んー、さすがに僕も疲れたよ」


 すぐにでも試練ダンジョンに行きたかったが、今は夕方。体力を回復しないとまずいと思ったので、宿を探した。

 宿は直ぐにサキさんが見つけてくれた。


 さすが『メイドの鑑』である。能力の解釈は合っているか不明だが。

 2部屋屋取ってくれて、僕1人で1部屋で、サキさんとアキミとモナミの3人で1部屋であった。


「あんたたち、試練ダンジョンに用があるんだって?」

 次の宿で習得を取っていたら話しかけられた。この宿の女将である。

「はい。ちょっと能力で気になることがあったので調べに来ました」


「ダンジョンに入るのは構わないけどさ、何にも無い所だよ。何で『試練ダンジョン』なんて呼ばれているか分からないくらいだよ」

「本当に何にも無いのですか?」

「ああ、無いね。地下5階まであるけど、そんなに広くないし、敵も弱いから安心して行ってきな。ただし、怪我にだけは気を付けな」

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