第7話 能力持ちのお話

 お風呂上がりに、アキミとモナミも呼んで、サキさん含めて4人でくつろいでいた。

 サキさんからもらった牛乳はおいしかった。やっぱりお風呂上りは牛乳だね。


 僕は3人のステータスの確認をしたくて、呼んだのであった。

 スマートウォッチを付けてもらいステータスを確認してみた。


アキミ・マーブル

レベル:10

職業:商人

魔力:1

回復力:1

能力:最強の矛(潜在)


モナミ・マーブル

レベル:10

職業:商人

魔力:1

回復力:1

能力:最強の盾(潜在)


サキ・マーブル

レベル:97

職業:メイド長/カオルの護衛

魔力:1

回復力:1

能力:メイドの鑑(永続)


 なるほど。アキミとモナミは魔力を持っている。回復力も1ある。

 サキさんのレベルは高いな。それでもゴールドクラスということは、もっとレベルは上がるのだろう。

 能力の『メイドの鑑(永続)』というのも気になる。

 僕の『童貞(暫定)』と同じように、何か意味があるのだろうけど、わかりづらいな。でも、永続ということは失うことはないのだろう。


 アキミとモナミの能力『最強の矛』『最強の盾』はわかりやすそうである。

 名前からすると、『最強』の能力だろう。矛と盾だから攻撃と防御に特化しているのかな。


 しかし『潜在』とは何だろう。

 条件を達成しないと能力が発動しないのか、それとも何処かで能力の解放を行わないといけないのか。


「アキミ、モナミ。君たちに『最強の矛』『最強の盾』という特別な能力が眠っているらしいのだけれども、心当たりはあるかい? もしくは冒険者ギルドで何か言われたかい?」

「え、私たちに特別な能力があるのですか。初めて聞きました。心当たりはないですね……」

「冒険者ギルドでも何も言われたことはないぜ」


 誰かそういうことに詳しい人がいないか、3人に尋ねてみる。

「それならおじいさまに尋ねるのが良いと思います」

「じじいは、物知りだぜーー」

「サキさん、明日、ミャタさんにアキミとモナミの能力について、話せるように連絡してくれるかな」

「かしこまりました」


 次の朝、あのメイド軍団がやってきて、また着替えをさせられてしまった。

 開き直れば良いのだろうが、若い女性にからだを見られるというのは、やはり恥ずかしいものだ。

 昨日はサキさんにミャタさんと話せるように取り計らってくれと頼んだが、そもそも一緒に朝食をするのだから、そんな取り計らいは必要ないとさっき気がついた。

 サキさんも言ってくれればいいのに。


「サキから聞いたよ。アキミとモナミに『最強の矛』『最強の盾』という特別な能力が眠っているらしいな」

「そうなのです。僕が持っているステータスを調べる道具を使ったところ、そのような結果が出ました。冒険者ギルドの水晶では何も出なかったのですよね」

「冒険者ギルドの水晶は能力値を表示できるだけだ。そもそも特別な能力なんて教会に高いお金を払い、神託を得て初めてわかるものじゃ。しかも持っているものの方が少ない。だから誰も確認しようと思わん」


「それならミャタさんも僕の道具で能力を調べてみませんか」

「儂は昔、教会で調べてもらったことがあっての。その時は『商才』という能力持ちだとわかったのじゃ。良い機会だ、カオル殿の道具で調べてもらうかの」

「ではこのスマートウォッチを手首にはめて下さい」

 僕はミャタさんにスマートウォッチを渡した。


ミャタ・マーブル

レベル:254

職業:商人

魔力:1

回復:1

能力:幸せな人生(永続)


「能力『幸せの人生(永続)』か。何とも抽象的な能力じゃの」

「そうですね。サキさんの『メイドの鑑(永続)』といい、効果が今1つ分からない物が多いですね」


「ちなみにカオル殿は『魔法使い』という能力持ちなのかね?」

「僕ですか? 職業は『魔法使い』でしたが、能力持ちではなかったです。ははは……」

 ここではっきり『童貞(暫定)』が僕の能力ですだなんて言えない。恥ずかしすぎる。


「商人の娘に『最強の矛(潜在)』と『最強の盾(潜在)』か……。これは少なくても戦闘用の能力じゃろうな。これも何かの思し召しかもしれんな。コートという村がある。そこにあるダンジョンは試練ダンジョンと呼ばれておる。しかし、実際にそのダンジョンには何もなく、何故、試練ダンジョンと呼ばれているか不明なため、めったに人は立ち寄らんがの。そこに行ってみるのはどうじゃ」


「ありがとうございます。ミャタさん」

「おじいさまありがとうございます」

「じじいありがとうだぜ」

「こらっ、モナミ口が悪い」

「うへー。怒らちまったぜ」


「ミャタさん、コート村へ行くにはどうすれば良いですか?」

「乗合馬車は出ておらん。屋敷の馬車を使うがいい」

「何から何までありがとうございます」


 それから食事が終わり、あっという間に馬車の手配が終わっていた。

 ミャタさんは仕事が早い。


「ミャタさん行ってきます。良い報告を待っててください」

「おじ様、行ってまいります」

「それでは、行ってまいります」

「じじい、行ってくるぜ」

「かならず3人を無事に守り切って見せます」


 あれ、僕は守られる側だったか?

 僕たちはコート村へと向かった。

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