第8話

介護施設での強盗事件の真相が少しずつ明らかになる中、湾岸署はキーウの組織がさらに大規模な犯罪計画を進めていることを突き止める。事件の背後には、未だに正体が掴めない「キーウ」という謎の存在があり、彼がいかにして組織の中心にいるのかは謎のままであった。


新展開:基地局の謎と「未必の故意」


ある日、湾岸署に新たな情報が入る。キーウの組織は、都内に設置された特定の基地局を通じて通信を操作し、ターゲットを追跡している可能性があると判明した。刑事たちはキーウが基地局のシステムを使い、監視網を張り巡らせていると推測し、犯人を追跡するための捜査を開始する。


しかし、その監視網には「未必の故意」──すなわち、偶然に見せかけた犯罪手法が絡んでいたことがわかる。キーウの組織は、ターゲットを監視しつつも直接的な証拠を残さない手口を駆使し、目的の人物が「偶然」に事故に遭うよう仕向けていたのだ。


謎の遺書と口コミの拡散


そのころ、ネット上で「キーウに関する口コミ」が広がり始める。ある匿名の投稿者が「キーウに監視されている」と訴え、ネット掲示板に遺書のようなメッセージを残していたのだ。遺書には、基地局を利用した監視の仕組みや、キーウの組織がターゲットに何をしてきたのかが詳細に書かれていた。


湾岸署はこの遺書を手掛かりに、その投稿者を調査するが、投稿者の身元はすでに削除され、まるで「消された」かのように行方不明となっていた。


正体を追う「囲碁」対局の場


キーウの正体について、わずかな手がかりをつかむため、湾岸署は組織のアジトとされる娯楽施設を探索し始める。その施設では奇妙なことに、特定の囲碁クラブが娯楽として用いられており、そこには実力派の囲碁プレイヤーが頻繁に集まっていた。情報収集のため、すみれ(深津絵里)は囲碁に詳しい元刑事の羽田(柄本佑)と協力し、そのクラブに潜入を試みる。


施設に訪れたすみれは、そこで出会った老人プレイヤーたちが「キーウ」の存在について囁き合っていることに気付く。彼らはキーウの正体を知る者と接触しており、その人物が囲碁を通じて指令を送っているという噂があった。すみれは、囲碁対局に隠されたメッセージがキーウの組織の計画を解く鍵になると感じ、慎重に対局を観察し始める。


クライマックス:囲碁クラブでの対峙


すみれはついに、囲碁クラブで「キーウの右腕」とされる影の実力者・宗方(佐野史郎)と対峙する。宗方は表向きは穏やかな囲碁プレイヤーだが、その背後には強力な裏社会との繋がりを持ち、キーウの意向を囲碁の「布石」にたとえ、暗号として周囲に伝えていたのだ。


宗方はすみれに、囲碁の一手一手に隠された組織の計画を悟らせるが、彼はどこか達観した態度で、「キーウが何者かに関しては、たとえ死んでも語らない」と言い残し、その場から逃走を図る。


エピローグ:


逃走する宗方を追い詰めたすみれたちだったが、キーウの組織の全貌はまだ解明されておらず、闇の中で密かに活動が続いていることが感じられる。事件の背後に潜む真相を追い続ける中、湾岸署の刑事たちは決意を新たにし、さらに深い闇へと足を踏み入れる覚悟をする。


湾岸署の捜査の先に待つのは、果たして組織の壊滅か、それともさらなる陰謀か──次の一手はまだ読めない。


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