第2章第12話: 「公爵のご機嫌取りと真実の泉の手がかり」
「よし、とりあえず話を聞き出さないといけないから、みんな行くよ」とミレイが一行を促した。
リオナはため息をつきながら、「どうすんのよ?またあのバカバカしいショーに付き合うわけ?」と不満をあらわにする。
「そうよ、つまり公爵のご機嫌取りをするの」ミレイが軽く肩をすくめて答えた。
「やってらんないわよ」とリオナは顔をしかめる。
ルビィもすかさず賛同し、「だよね、あんな茶番に付き合うとか、ありえない」とタバコをふかしながら言った。
「寝てたじゃない、あんた」とリオナは皮肉っぽくルビィにツッコミを入れた。
そんな一行のやり取りを、エリオだけがキラキラした目で見つめ、「よーし!クイズ勝つぞ!」と意気込んでいた。その様子にリオナとミレイ、ルビィは呆れて何も言えない。
ミレイは再びリオナに視線を向け、「あの馬鹿でかい掃除機械とやりあうのは無理よ。だから、とりあえず我慢してご機嫌を取るしかないわ」と諭した。
リオナとルビィは不満そうにしながらも渋々うなずき、一行は再びそっと玄関の扉を開けて中に入った。すぐにお掃除くんが金属音を響かせながら迫ってくるが、ミレイが慌てて手を振りながら叫んだ。
「待った、待った!ちょっとストップ!」
その声に反応して、お掃除くんの動きがぴたりと止まり、機械的にライトの目を点滅させた。そして、奥から聞こえる声が広間に響いた。
「なんだね?私は機嫌が悪いんだが……」
公爵の声音は明らかに不機嫌で、拗ねているのがわかる。リオナは小声で呟いた。
「完璧に拗ねちゃってるわね……」
「なんでもいいから、ご機嫌取るのよ。適当におだてるの!」とミレイが言うと、一行は困惑しながらも、それぞれ思い思いの言葉で公爵をおだて始めた。
「さっきのショー、すごく楽しかったわ!」リオナが無理やり笑顔を作って言う。
「僕も!すごいマジックでした!」エリオがキラキラとした目で公爵を見上げる。
「はぁ……やるじゃん、いいショーだったわ」とルビィはあくびをしながら軽く手を振った。
公爵はそんな一行の言葉に少しだけ頬を緩め、「ふむ、そこまで言うなら仕方ないな。では、続きを始めるか!」と高らかに宣言した。
「ちょろいわね」と、全員が思わず顔を見合わせ、心の中で苦笑いする。
そして再び、派手な照明とともに始まったクイズコーナー。問題はすべて公爵に関するもので、「公爵様の好きな色は?」や「公爵様が初めて手品を披露した年齢は?」といった、本人以外誰も答えられない内容ばかりだった。
やがて、しばらくして一同が死んだ魚のような目をしている中で、エリオだけが相変わらず楽しげにクイズに夢中になっている。
「さあ、いよいよ最終問題です!正解者にはなんと100ポイントが加算されます!大逆転のチャンスですぞ!」と公爵が声を張り上げた。
エリオは目を輝かせながら、「よーし!これで逆転するぞ!」と意気込んでボタンに指を置いているが、リオナは不機嫌そうにエリオを睨みつけた。
「ちょっと、なんであんたトップ取れてないのよ!」リオナは少し怒り気味で言ったが、エリオは全く気にせず楽しんでいる。
その時、ミレイが手を上げ、「すみませーん、最終問題の前に質問があるんですけど~」と公爵に呼びかけた。
「質問だと?なんだね?」と公爵が少し眉をひそめてミレイの方を見る。
「実は、真実の泉が最近転移したって聞いたんですけど、どこにあるのか教えてもらえますか?」
公爵はその質問を聞いて「真実の泉だと?」と不満そうに眉をしかめ、「あんなもの、使い道がなくてアンデットの森に捨ててきたわ!」と軽く言い放った。
その言葉を聞いた瞬間、リオナ、ルビィ、ミレイは一斉に死んだような目で頭の上にかぶったクイズ帽子を脱ぎ捨て、無言で立ち上がった。
「え?みんなどこ行くの?クイズ終わってないよ!」エリオは唖然としながら、一行の後を見た、リオナはエリオを強引に押し出し、「さっさと行くわよ!」と声を荒げた。
驚いた公爵は、広間の中央で慌てたように両手を振りながら、「ちょっと待ちなさい!どこに行くつもりだ!?」と叫んだ。
ミレイは振り返り、冷静に「真実の泉を探しに行くのよ」と答えた。
公爵はその言葉に鼻で笑い、「あの泉はアンデットの森の中心にあるのだぞ?そこには恐ろしいアンデットたちがうじゃうじゃいるのだ。行けると思うのかね?」と嘲笑を浮かべた。
しかし、ルビィがにやりと笑って、「アンデットの森?そんなもん、私がぶっ飛ばしたけど?」と軽く返した。
「な、なにぃ!?そんな馬鹿な!」公爵は慌てて窓の外を見やると、驚愕の表情を浮かべた。森はすっかり姿を変えており、彼の思い描くアンデットの気配など一切感じられなかった。
リオナはにっこりと微笑みながら、「それでは、失礼するわね」と一礼し、一行は再び屋敷の外に出た。
外に出てきた一行は、辺りを見渡しながら真実の泉の手がかりを探し始めた。
「さて、どこにあるのかしら?」とリオナが辺りを見回していると、突然、異様なものが目に入った。遠くに浮かび上がる大きな手が指さす先には、「ココ」と書かれた文字が宙に浮かんでいる。
一行は顔を見合わせ、なんとも言えない不安を抱きながら、その方向に足を進めた。真実の泉に対する期待と不安が入り混じる中、次なる冒険が始まるのであった。
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