第1章第11話: 「ドワーフの広場で大笑い」
夜がすっかり更けた頃、リオナ、エリオ、そしてルビィの一行は賑やかな広場に到着した。そこは焚き火が燃え上がり、笑い声が絶えない場所だった。広場を見渡すと、そこにいたのはドワーフ族。彼らは人間の半分ほどの身長だが、がっちりとした体格で、腕力には自信がありそうな者たちばかりだ。
ドワーフたちはすでに出来上がっており、あちらこちらで杯を傾けて楽しそうに笑っている。食べ物の香りが漂い、ビールの泡があふれるほどに注がれているテーブルが並んでいた。そんな光景を見て、リオナはすぐに眉をひそめた。
「どうせ、エリオを見たら逃げ出すに決まってるわよ。だって、今までみんなそうだったもの……」
リオナは半ば諦めたような声で言った。これまでの経験から、エリオがドラゴンの姿をしているだけで、人々は恐れて逃げていくのが常だった。だが、ルビィは全く気にする様子もなく、リオナの言葉を軽く受け流した。
「まあまあ、そんなに気にするなって!さぁ、みんなに合わせて楽しもうぜ!」
ルビィは無理やりリオナとエリオを引っ張り、広場の真ん中へと向かった。ドワーフたちは彼女を見て笑いかけ、興味津々にリオナたちを見つめていた。
「おい、そいつら誰だ?」
一人のドワーフが声をかけ、周りの仲間たちも次々に視線を向けた。彼らはリオナとエリオをじっと見つめ、何やらささやき合っている。
「紹介しよう!こいつはお姫様だぜ!」
ルビィが堂々とリオナを指さして紹介した瞬間、ドワーフたちは一斉に大笑いし始めた。
「お姫様だってよ!はっはっはっ!」
「お姫様がこんなとこに来るかよ!」
彼らの笑い声が広場中に響き渡り、リオナは顔を赤くしながらも、ぐっと堪えた。怒りを覚えながらも、何とか冷静さを保とうとしていたが、その様子を見てドワーフたちはますます笑い続けた。
「な、何よ……」
リオナが少しムッとした声を出すが、ドワーフたちは彼女を気にせず笑い続ける。その時、ルビィは続けてエリオを指さし、さらに紹介を始めた。
「そして、こいつがドラゴンだ!」
エリオが恥ずかしそうにうつむきながら紹介されると、ドワーフたちは一瞬驚くかと思われたが、次の瞬間――。
「ドラゴンだって?はっはっはっはっ!」
「こいつもドラゴンだってよ!あはははは!」
ドワーフたちは再び大笑いし、今度は腹を抱えて笑い転げる者まで現れた。まるでエリオがドラゴンだということが滑稽で仕方ないかのように、彼らは笑いを止めることができなかった。
「なんでそんなに笑うのよ?ドラゴンが怖くないの?」
リオナは疑問に思いながら、ドワーフたちに問いかけた。これまでみんなが恐れて逃げていったのに、ここではまるで違う反応に戸惑っていた。
すると、一人のドワーフがようやく笑いを収め、リオナに答えた。
「怖いわけないさ。ドラゴンってのは、魔女が魔法で変幻させてるんだよ。元は人間だからな!」
その言葉に、リオナは驚いて目を見開いた。魔法で人間がドラゴンに変えられたという話は、エリオの状況にぴったり一致していた。
「それって……すごく重要な情報じゃない!?」
リオナは興奮して、もっと詳しく聞こうとドワーフに詰め寄った。しかし、その瞬間、ルビィが口を挟んだ。
「まあまあ、まずは一献だろ?話はその後にしてくれよ!」
そう言うと、ルビィはリオナに杯を手渡した。リオナは一瞬ためらったが、すぐにルビィの勢いに押され、杯を口に運んだ。
「乾杯だ!」
ルビィの掛け声と共に、リオナは一気に飲み干した。だが、その直後――。
「……え?」
リオナは急にふらりと足元が崩れ、そのまま地面に倒れ込んだ。たった一杯でひっくり返ったリオナを見て、再びドワーフたちは大爆笑し始めた。
「はっはっはっ!こいつ、ひ弱だなぁ!」
「こんな少量で倒れるなんて、酒が足りねえぞ!」
ルビィもケラケラと笑いながら、倒れたリオナを指さした。
「おいおい、ちょっと飲みすぎちゃったな!ははは!」
エリオも困惑した表情で、リオナを見下ろしながら呆然としていた。ルビィとドワーフたちは、そんな二人をからかうように笑い続け、広場はますます賑やかさを増していった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます