第11話 NewStream
楓は午前中から会社のスタジオにいた。学校には活動の事を話してるので
休みはもらえるから仕事の時は休んでいる。スタジオで大輔と一緒に練習を
している。二人の披露まであと三日に迫っていた。ほぼ完成していてあとは
失敗しないようにしたりその後の事も話し合ったりした。
楓もこうしたいとか意見を言ったりしてできそうならそれを実現させる
方針になっている。ちなみに二人組だがリーダーは大輔になっている。
この日は打ち合わせをしたり練習したりした。その時に大輔に練習した
ギターを聞いてもらっていた。
「だいぶうまくなったね」
「うん。ちゃんと毎日練習してるから。それで言われた通り歌も良く
なった気がする」
「ああ。楽器をやれば自然に音感がつくからな。あとはライブと収録を
分けれるかだな」
「ライブと収録」
「そう。ざっくり言えば収録は丁寧に。ライブは大げさにかな。大げさの
中にも丁寧な事は忘れないぐらいにって思ってればよりよく聞こえるはず」
「そっか。確かにライブはその方がいいかも。私丁寧に歌ってからな」
「ライブ経験ありか」
「い、一応ですけど。でも、今回はバーチャルでのライブ」
「そう。それも考えないとな。どんなに必死になっても伝わらない事もある。まして
バーチャルならなおさら。まぁそれは経験していけばわかるからな」
「そうですね」
色々考えながら練習を続けた。家に戻ってからはゲームにログインし時間まで
楽しんだ。そうしてあっという間に三日が過ぎていよいよ二人のデビュー日に
なった。ユニット名も隠して姿も二人のシルエットだけを映して配信枠をたてた。
二人は会社の楽屋で待機している。先にSNSには投稿していて二人の事は話題に
なっていた。
待機中からコメントが盛り上がっていてトレンドにもなっている。配信が始まる
のは20時からだ。あと一時間後に始まると思うと楓は緊張していた。
「大丈夫か?楓」
「うん。少し緊張してるけど始まれば平気だよ」
「そうか。一つ教えるとしたら始まって歌う時はコメ欄を見ない事だな。数字を
気にすると余計緊張するからな」
「わかった。歌に集中するね」
そうして時間が過ぎ配信が始まった。さきに予告MVを流してから始まる。普通の
配信はあいさつからだがこれは歌、ライブなので歌から始まる。配信画面では
ステージが映し出されそこに二人の姿が現れた。大輔の演奏が始まりそこから楓が
歌いだす。二人の衣装は新衣装で楓はシンガーの中で初めての3D披露になった。
その楓の歌声はすごくすぐにネットのみならずリアルでも反響がすごく視聴者数が
すぐ10万人を超えた。一曲披露してそのあとにあいさつをした。
大輔からあいさつし楓も話し出す。二人でデビューしたという事と、ユニット名を
発表した。NewStream。この業界に新しい何かを流すという意味でつけられた。
ジャンルはテクノサウンドでそれが楓の歌と合い、最高の曲になっていた。
それからライブは続き一時間が経過した。オリジナルや楓の好きな曲のカバーを
したりしながら歌い続けた。その中で初めて本格的なダンスも披露したりして楓は
疲れていたが楽しくしていた。
時間になり二人が並んで改めて話をした。その時にはすでに同接数が50万人を超えて歴代でもトップクラスの数字を出した。
無事に二人の初配信は終了した。終わってからも熱が冷めずにアーカイブが
一時間で数十万回再生された。翌日。二人の事は話題になりメディアにも
とりあげられた。学校でも話題になっていてごまかすのに必死だった。
シンガーのメンバー達からもお祝いを言われたり、ゲーム内でも会う人から
称賛の声をもらった。
楓は部屋でアーカイブを見てあらためて実感した。二人は会社内ではデビューしたがいわゆるレコード会社でのデビューではないが、その話はすぐにやってくる。
色んな会社からメジャーデビューしてほしいという依頼が来ていて、楓も一緒に
するならどこにするかを話し合っていた。すると楓は知った名前を見つけてしまった。それは以前リアルで所属していた会社だった。
「どうした楓?」
「ううん。なんでもない」
スッとスルーして他の会社を探した。二人で考えて出した答えはまだ有名ではないがこれから来るであろう会社を大輔が指名して社長からも承諾を受けた。デビューするのはもっと後の事だが。
それからはゲームの方に集中してイベントを楽しんだ。そこでもまた新しい人との
出会いがあった。
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