第9話 楓入院する

 G・A。世界中で人気のゲームでアメリカを舞台にしたもので警察や犯罪、普通の

市民になってなりきりプレイをする。このゲームがライバーを集めて定期的に

イベントを開催している。楓もそれに参加する事になり通常でプレイをしていた。

元々ゲームが得意ではないので他の人から教えてもらいながら進めている。


「難しい。普通のRPGとかと違ってリアルだからそれにもなれないと」

「そうだな。覚えることもいっぱいだからな」


 あおやまかいと配信の中で一緒に練習している。イベントは一週間後に

始まるのでそれに向けてプレイしている。かいはイベントは初めの参加

だが、元のシリーズはプレイしているので詳しかった。楓以外のメンバーとも

集まって練習したりしている。普段の配信では見れない表情や感情が見えるので

それが楽しいと言う人とそれが苦手な人もいるからリスナーにはちょっと

難しい対応が求められるとも教わった。


 配信が終わってからも練習をする楓。楓は何にでも真剣でひたすらに練習する

のでこのゲームでも誰よりもプレイしていた。そのイベントまでの間はギターの

練習もする。大輔とのデビューに向けても進行しているのでそっちも頑張っている。

でもその頑張りすぎが楓を疲れさせていた。


 会社で大輔とスタジオで練習しているときに大輔が気づいた。


「あやね、疲れてるだろ?」

「だ、大丈夫だよ。ちゃんと寝てるし」

「とてもそうは思えんぞ。俺らはあと待つだけだから今は休め。それともG・Aの

練習でもしてるのか?」

「うん。そっちもしてる。でも疲れてないよ」

「ならいいが。無理はするなよ」

「「ありがとう」


 家に戻っても練習をしてそれは深夜にまでおよんでいた。そうして練習をしてから

二日が経って収録の為に会社に来て仕事をしている時だった。明らかに楓の調子が

悪いのを見たメンバーのしず達。しずが楓に声をかける。


「あやねちゃん大丈夫?顔が赤いわよ」

「だ、大丈夫です。でき、ます」

「大丈夫じゃないだろ。病院行け!」

「かい君。私は大丈夫、だ、か、ら」

「彩音ちゃん!?」


 その場で倒れた楓すぐに病院に連れていかれて少ししてから楓は気が付いた。

周りを見ると自分は点滴されてベッドの横にはしず達とスタッフがいた。


「あやねちゃん!よかった気が付いた」

「しず姉ぇさん。皆も。私」

「まったく無理して!会社で倒れたから連れてきたんだよ」

「せいかさん」

「やっぱり無理してたんだな。今回のイベントはどうする?やるか」

「かい君。ごめん。迷惑かけて。でもイベントは出たい。せっかく練習して

皆とできるイベントだから」

「その為にはあとはゆっくり休むことね。ゲームは練習してくれるのはうれしい

けど無理して体調をくずしたら意味ないからね」

「しず姉ぇさん。ごめんなさい」


 楓は目を閉じた。そこで少し涙を流したがそれをせいかが拭いた。楓は二日程

入院をした。その間も大輔とか会社の人とかが見舞いに来てくれた。親も当然

来て色々してくれた。学校も休んでいるので先生にも連絡したりして夕方頃家に

戻ってきた。まだ万全ではないのですぐにベッドで横になった。


「情けないな。体調崩しちゃうなんて。皆に弱い子って思われたかな。大輔さんも

気にするなって言ってたけど気にしちゃうな。でも、皆が心配してくれてたのは

うれしかった。前の時は一人だったから。あの事があったあとなんて誰も助けて

くれなかった。あんなに貢献したのに」


 楓は少し泣いてしまった。あの事を思い出すたびに本当に悲しくなって一人の

時は泣いてしまう事もある。でも、今は同じメンバーがいて仲間がいる事に

本当に感謝をした。翌日も休んで活動を再開したのは倒れてから四日目だった。

学校に来るとさすがにクラスメイト達からも心配された。話しかけてくれる子達と

お昼は一緒に食堂で食べて楓がおごったりもした。楓は学生としては稼いでいる

のでお金の心配はなかった。


 それをメンバー達にもした。会社に行く時にスタッフやしず達にもおかし

等を持っていき謝ったりした。この事もあってあやねは体調管理も気を

つけるようにした。そうしているうちにゲームのイベント開始日がやってきた。

シンガーのメンバー達とはなるべく違うプレイをして他の人との交流を

しようという感じになった。


 まだあっていない会社の先輩や外部の人達との交流は楽しみだったので楓も

待ち遠しかった。そうしてそこで交流したのがNWOといやそれ以上かもしれない

トップ企業所属のVtuber達だった。


 最初に出会ったのはそこのS・G(シャイニングガールズ)グループで

人気のVtuber 獅堂凍子(ししどうとうこ)だった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る