第6話 ほしのもりせいか

 楽屋でギターを弾くあやね。それを聞いてほしのみやせいかが話しかける。


「だいぶ練習してるみたいね。あやねちゃん」

「まだまだですよ。指が痛くて」

「それはそうね。でもそうなっても練習するのはえらいわよ。歌がうまいだけに

楽器ができればより完成度が高くなるわ」

「はい。そうなれればいいですけど」

「なれるわよ。私でもなれたんだから」

「せいかさんは初めからうまいんじゃ」

「最初からうまい人なんていないわよ。特に私の場合はね」


 せいかは自分の事を思い出していた。


 ー


 ほしのもりせいか。本名、星野恵里佳(ほしのえりか)。女子高生で三年生だ。

彼女はスターシンガーが初めてではなくあやねと同じスカウトされてVライバーに

なった。元々歌手志望で配信で活動していてその時に声をかけられた。

最初はリアルでやろうと思っていたが、Vtuberが普及し将来性があると見込みこの

世界に入ってきた。


 最初はてこずりながらも配信はしていたのでPCの知識はそれなりにあったので

なれるのに時間はかからないかった。学校に居る時もライバーの事を勉強したり

して本格的にやり始めた。恵里佳は歌がうまくずっと歌手を夢に見ていた。なので

楽器も使えるようになりたいと色々試した。キーボードとギターをできるように

なるまで半年かかったができるようになってからも練習はかかさない。


「今日はこれぐらいにしようかしら。それにしてもVtuberか。実際やってみると

反響がすごいわね。自分の動画よりも見られるなんて。やっぱり時代はネット

企業かな。どこでも配信できるし見ることもできる。プロもCDより配信で稼ぐ

時代って言っちゃってるからな」


 そうして普通にVtuberとして活動を初めて三か月ぐらいしてからスカウトされた

人に連絡をしてもう一度これでいいかと確認をしたりしながらせいかは契約をした。

最初はソロでデビューだと思っていたがある時スタッフにその事を聞いたらグループ

ですと言われた。企業でのVtuberデビューはだいたいがグループになるのでせいかも

例外じゃなかった。


「グループか。そういうのは初めてだな。うまくできるかしら。男性もいるのかな」


 これまで一人で活動してきたので団体でうまくできるか不安だった。リアルではいなくはないが友達は多い方ではない。夢の為にひたすら努力をしていてので友達を

作る事はあまりしなかたからだ。それでも何人かは一緒に居てくれる子はいた。

そんな不安はありながも同じグループになるメンバーと初めての顔合わせとなった。


 それぞれあいさつしせいかもする。皆歌がうまいと聞いていたのでそれを確かめようと会社のスタジオに移動して一人ずつ歌っていく事にした。聞いていた通り皆

うまく中でもあやねの声がきれいに聞こえたが、それ以前にあやねをどこかで見た

様な感じもしていた。


「あやねさん、どこかで会ったかしら?」

「い、いえ。初めてですよ」

「そう。どこかで聞いたような声だったから」


 あやねはその時から姿をがらっと変えていたので気づかれなかったが、声だけは

うまく変えれていなかった。せいかはいつか聞いてみようと今は聞く事をやめた。

それからグループでの活動やデビューしてすぐにライブをしたりと忙しく活動を

するのだった。



「せいかさん?」

「ああごめん。デビューした時の事を思い出しててさ」

「デビューの時か。私はうれしすぎてあっという間だったな」

「俺もだな。デビューしたって実感はあるけど、リアルでだちにも教えてない

から、周りがいつも通りでちょっと物足りなかったぜ」

「それはあるわね。私も家族にしか言ってないからそこまで実感はなかったな」

「しず姉ぇは大学生だけど両親には言ったんだ」

「まだ20になる前だったからね。それまでの活動も友達にはいってなかったから」

「姉さんは最初からVだったよな」

「ええ。個人勢でやってたけど中々うまくいかなかったからね。続けようか迷ってたわ」

「よく続けましたね」

「そのぐらいにここのオーディションがあるのをしって応募したの。これでダメだったら諦めようってね」

「そうなんだ。しず姉ぇさんの事聞きたいな。そこまでまだ皆の事聞いてなかったと

思うから」

「そうね。時間もあるし話してあげようかな」

「って事はその後に俺も話さないとダメなのか?」

「もちろん。改め紹介していこうよ。せっかく時間あるんだし」

「わかったわ。じゃぁ話そうかしら」


 そうしてしばさきしずは語りだした。



 

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