第3話
自習室は一階、受付のすぐ近くにある。受付をしている先生や事務員さんたちに監視されているってわけだ。
しかし、模範的受験生な俺は、自習室の受付が見える位置を陣取った。受付からこちらが見えるということはサボることば出来ないということだが、こちらから受付が見えるということは、受付もまたヘタなことはできないということなのである。「深淵を覗く時、深淵もこちらをのぞいている」である。先生たちがお菓子を食べないか、見張っといてやろう。
結果として、俺は3コのお菓子を巻き上げた。。キャンディーとミントガムとチョコクッキーだ。個包装ではなかったミントガムから口に入れる。ミントガムを食べると痛みを感じるけど、これがミント味ってことなのかな。
ガムを食べながらだと集中して作業ができるというのは本当のようだ。あっという間に時間が過ぎる。味の抜けたガムも好きだったりする。勉強時間を記録するため、受付の置き時計を見ようとした。小さなそのデジタル時計を見ようと目を凝らす。疲れ切った俺の目は、なかなか時刻を読み取ってやくれない。やっと読めそうだ、というタイミングで俺と時計の間を影が通った。
彼女は美しいとは遠くあった。だがしかし、どこか目を引いてしまう。あの一瞬、俺が一目惚れしてしまうには十分だった。彼女も俺と同じで半袖を着ていた。あのピッチリとした半袖とジーンズは、彼女の筒のような体型をはっきりと浮かび上がらせていた。確かに例年以上に暑い。それでも今は5月、少し肌寒かったのだろう、彼女の上を向いた、豚鼻ともにんにく鼻とも言える彼女の顔を印象付ける鼻先は少し赤くなっていた。きっと彼女の真の価値は容姿ではない。そんな気がした。
一瞬のすれ違い、また会えるだろうか。
俺が高校生の彼女をgetするまで 絵空太郎子 @esora_god
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。俺が高校生の彼女をgetするまでの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます