第51話:童帝
「結構鍛えていますね。佐倉くん」
学校でのこと。俺は採寸を取られていた。ウチのクラスは手芸部とコラボして文化祭の課題を発表するというテクニカルな立場になって、部長が乗り気で文化祭会議で予算をもぎ取ったらしい。で、ウチのクラスのメイド役の服を裁縫するのが手芸部。俺は部長さんに採寸して貰っていた。
「パンツはどうする? 女物履く?」
「まぁ別にアレルギーはありませんよ」
「よく見ると結構いい顔してるね。目のクマが酷くて見れたもんじゃない空気醸しているけど」
「ああ、文化祭当日はコンシーラーで隠すんで。そこまで見苦しくはなりませんよ」
そんな感じで首元、腕、肩、胴と採寸されてデータを集められる。
「メイド服にリクエストはありますか?」
「フリフリでもクラシックでも構いませんよ。部長の采配に任せます」
「じゃガーリーにいこっか。腕が鳴るなぁ」
そんなわけで、後は接客業の練習だけ。喫茶店でバイトしているクラスメイトが、俺と他女子五人を含めて、接客業を教えてくれる。俺の文化祭までの準備は、つまり接客業を憶えることと、メイド服の仮縫いくらいだ。
「さて、腹減った」
で、文化祭に向けて学校が進んでいき、だがそれとは別の問題も俺には有って。
「おかえりだぞ」
「…………おかえりなさい」
「おにーさん!」
で、サヤカは俺のお尻に頬を擦りつけてうっとりとしている。コイツもコイツで業が深い。
「じゃあやりましょう。今日がさやぽんの初夜」
「ビッチなのに?」
「ルイお姉ちゃんとタマモお姉ちゃんとサヤポンは桃園の誓いをして盃を交わしたのです。我ら三人、処女を失いし日、時は違えども竿姉妹の契りを結びしからは、心を同じくして助け合い、困窮する童貞を救わん。上はご主人様に報い、下は雑魚お兄さんを安んずることを誓う。同年同月同日に処女卒業することを得ずとも、同年同月同日にセックスしせん事を願わん。オメガターカイトよ、実にこの心を鑑みよ。義に背き恩を忘るれば、男女共に戮すべし」
つまり何が言いたい?
「ルイお姉ちゃんとタマモお姉ちゃんみたいにサヤポンもおにーさんのイチモツでドピュっとね」
おまえ本当にアイドルなんだろうな。
「ダメだぞ」
「…………脚下」
「にゃぜ? ルイお姉ちゃんとタマモお姉ちゃんもやられてるんでしょ? サヤポンだけにゃかまはずれにゃ?」
「マアジの童貞はボクが貰うぞ!」
「…………二番目はあたしです」
「…………」←これはサヤカ。
チ。チ。チ。ポーン。
「え? やって……………………にゃいの?」
「ああ。やってない」
「にゃぜ?」
コレガワカラナイ。
「ちょちょちょ。ジョークでもにゃんでもにゃく!? ルイお姉ちゃんとタマモお姉ちゃんを家にあげておいて! 何もしていにゃいと! おにーさんはそういうの!?」
童貞だしな。
で、俺を擁護すべき。あるいはサヤカを煽って俺とクスセツするように仕向けるべきかルイとタマモは悩んでいた。
「…………えーと……サヤカ」
で、テンションに水を差そうとするタマモ。そのGカップの胸を鷲掴みにして、唖然としてサヤカは言う。
「ぶっちゃけサヤポンが貪りたいほどのおっぱいだよ!?」
まるで果物でも握るようにポヨヨンポヨヨンと変幻自在に形を変えるパイオツを揉んで、そうサヤカは主張する。
「…………あのー。……そう率直に言われると発言に困るんですけど」
で、しまいにはタマモの背中に回り込んで腕を回し、下から押し上げるようにタマモの胸を揉みしだくサヤカ。ロリ幼女がやっているからまだしも絵面的には酷くないんだが、俺がやると案件。
「ルイお姉ちゃん! タマモお姉ちゃん! ここまでサービスして思春期男子にお預けって悪鬼の所業だにゃ!」
「いや。ボクは否定しないぞ」
「…………あたしも別に」
「つまりおにーさんが辞退していると?」
「「さいです」」
「おにーさん。モーホー?」
それは名誉棄損にならないか。
「だってDカップとGカップがいて、手が届いて、惚れられてるんだよ?」
「で、その二人とヤって処女奪って妊娠させたらオメガターカイトはどうなる?」
「…………にゃー」
そういうわけだ。
「つまりルイお姉ちゃんの処女を奪わない方法だったらやってもいい……と?」
そうだな。そういう理屈になるのか。
「お尻?」
端的にルイがそう言った。ちなみに童貞にどんな高度なプレイを求めているんだ。俺の初めてがお尻って。十字架の背負い方がハンパない。
「そっかー。じゃあルイお姉ちゃんもタマモお姉ちゃんも処女かぁ」
「サヤカも処女でしょ?」
「まぁねぇ。夢の中では百戦錬磨だけど」
たまにネットで見るな。サヤカにザーコザーコって罵られながら足でされてサヤカのファンになってしまったスーパーサイオヤジが。
「じゃ、場を整えるのにゃ」
場?
「それからおにーさん」
はいはい。
「お腹空いた」
今日はキムチカルビ丼だぜ! いえい!
「ああ。糖質を抜きたいのに、マアジのご飯は美味しいぞ」
「…………美味しいです。……あとサヤカ。……揉まないで」
「無理にゃー」
なわけで丼物になってしまった。片付けも簡単になるしな。スープはインスタントのお吸い物。はぁ。美味しい。
「ルイお姉ちゃんとタマモお姉ちゃんはいつもおにーさんのご飯を食べているのにゃ?」
「そうだぞ」
「…………羨ましいでしょう」
「これは羨むレベルだにゃ」
「最初にマアジの部屋に上がったのはボクだから」
「…………あたしはルイを利用して……マアジの愛を獲得しました」
「じゃあさ。提案があるんだけどにゃー」
「拝聴するぞ」「…………聞きましょう」
「4Pしにゃい?」
待て。だから俺は絶倫じゃないって。前提条件が破綻している。
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