第52話:ザコって言った奴がザコなんだよザーコ
「じゃあ今日はカモミールの香りで」
ワイドキングのベッドで横になって、今日も俺たちは就寝する。まだ残暑の厳しい季節。クーラーをガンガンに利かせて眠りにつく。すでにアロマテラピーは効いているのか。速やかに眠りに落ちる三人。あれから4Pだのどうのこうの言っていたから不安はあったのだが、世界は思ったより理性的だった。俺としても一安心。
「んー。あ?」
心地よく眠りに落ちたはずだった。そうして次の日を迎える……前に俺は目を覚ました。
「…………」
それがどういうシチュエーションなのか。そこから懐疑せざるをえなかった。
「えーと。もしもし」
どことも知れぬ部屋でのこと。我が家のマンションの寝室と似通っているが細部が違う。ただ部屋の中央に柱が立っていて、そこに俺は縛り付けられていた。尻は床についているので、座り込む形でだ。ついでに感覚が冴えている。なにやら感覚がブーストされているような……。
「ほら、おにーさんもここにいるでしょ?」
下着姿のサヤカがそこにいた。
「えーと。何このドキドキのシチュエーション」
下着姿のルイもそこにいた。
「…………ちょっと興奮しますね」
下着姿のタマモもそこにいた。
「あー……」
大体わかった。つまりこれは夢だ。
「まぁ夢にゃんだけどにゃー」
ほらな。そうじゃないと説明がつかないもの。
「おにーさん。今どんにゃ気分?」
ニタァといやらしげに笑って、問うてくるサヤカ。
「どう、と言われても」
柱に拘束されて、下着姿のAカップとDカップとGカップがいて。思うことは一つだろう。
「クツセツしたいとか?」
まぁ夢なら4Pもできるんじゃないかと。
「すごいしたいでしょ?」
「そうだな。したい」
「でもダーメ。おにーさんはサヤポンに踏まれて果てるのにゃ。はい。そういうわけでおにーさんのアレを出すよ」
ボロン、とアレが出た。
「ひぇ……!」
「ふゎ……!」
俺のアレを見て、顔を赤らめるルイとタマモ。だが視線は外せないらしく、俺のアレから目をそらすことができないようだ。
「うわーお」
で、サヤカも俺のを見て興奮している。
「言うほど大きいわけでもないだろ?」
そもそも拘束されて、こっちのアレを露出させられて、俺に何を思えというのだ。
「はい。じゃあおにーさん♡ サヤポンの足で果ててね?」
足でしてくれるのか。だがなぁ。問題が一つ。
「あはは。おにーさん。ザコだにゃー。アレがビンビンでメスガキに踏まれてそそり立つとか~♪」
うーん。まぁムラムラはするのだが。
「ザーコザーコ♪ おにーさんメスガキに踏まれて気持ちいい?」
「あー。そこそこ」
まるで肩叩きでもされるように俺はそういう。だがいつまで経っても俺は果てない。
「サヤカ? あんまりボクのマアジにそういうことは……」
「…………マアジには攻めて欲しいんですけど」
メスガキ系ビッチアイドル片中サヤカは夢の中で男のアレを踏んで果てさせる人物だ。対してルイとタマモはどちらかと言えば自己敗北性パーソナリティ障害。需要が噛み合っていないというか。そもそもサヤカの技術では俺はいけない。それを察してきたのか。意外というか計画外だとでも言うかのようにサヤカは疑問を覚える。
「あれぇ? サヤポンの足でイカなかった男って今まで誰もいなかったんだけど」
そりゃまたザコばかり相手にしてきたもので。
「おにーさん。気持ちよくない?」
「自分でやるほうがマシなレベル」
ズガーンッッッ! とサヤカがショックを受ける。よほど足技に自信があったらしい。とはいえ俺にしてみれば然程じゃないが。こんな踏みつけるだけの足技でイケるとかどんだけザコだったんだよ。片中サヤカのファン。
「じゃあ感度五倍! これでどうにゃ?」
フフン、と勝ち誇るサヤカ。あー。夢の中だから感度も弄れるのか。
「もう感度五倍となるとクツセツのことしか考えられないでしょ? オティヌティヌ破裂しそうでしょ? 懇願してもいいにゃーよ? サヤカ様の足で踏んでくださいって」
「…………えーと」
「え? 足りにゃい? にゃんで?」
何でと言われてもな。
ここが夢の中で、ソフト上の空間だと仮定。その上で互いの意識を繋げている……と考える。であればこっちからの干渉も出来ないわけではない話で。
「拘束解除」
ハラリ、と俺を縛るロープが解きほぐされる。
「え? おにーさん?」
「で、システム上のクラッキングをして……こうか?」
ルイとタマモとサヤカを拘束する。とは言っても腕を拘束してちょっと不自由にする程度だ。ネットサイトとかで普通に売ってるアレ。
「あん♡」
「…………ッ♡」
「ちょちょちょ。おにーさん。なんでサヤポンの夢世界で……ッ!」
「あー。俺をイカせたいなら、これくらい盛り上げないと」
で、俺が普段設定している感度を三人にも与える。
ドクン。
そうして俺が示威行為をする時のテンションを付与すると。
「「「おっ! おほぉぉぉぉぉぉぉおおおぉぉぉぉ!?」」」
三人は目を見開いて絶叫した。
「おまだがぐるじいぃぃぃ! だれがざわっでぇぇぇぇ!」
「なにごれぇ! あづい! 身体があづいぃぃぃぃぃぃ!」
「いぐのどまらにゃいぃぃぃ! ぎもぢよずぎるぅぅぅ!」
腕を拘束されたまま、ブーストされた性欲に弄ばれるザコ三人。それらを見た後。
は。
そこで俺は目が覚めた。そうして自分が何を見ていたのか自覚して。
「アホな夢を見た……」
そう結論付ける。
「う……ふ……」
「は……あ……」
「ん……にゃ……」
だが俺とワイドキングサイズのベッドで寝ている三人が何の夢を見てエロい吐息をはいているのかを俺は知らない。エッチな夢でも見ているのか。俺は起き上がって、キッチンへと。冷やしている麦茶を飲んで、それからリビングのソファに寝転がる。
「さて、もう一眠り」
次は頭の悪い夢を見ないように。
おやすみなさい。
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