第43話:メスガキ系ビッチアイドル


「ほい。今日はグラタンだ」


 そんなわけでホワイトソースを一から作って俺は四人分の食事を用意する。とは言っても一人増えているのは既に悟っていたので、飯を作るのに苦慮は要らなかった。


「いただきまーす」


 今日から一人増えた食事のお供はニコニコ笑顔で、食事をしていた。俺とルイとタマモも合掌して食事に取り掛かる。


「うーん。美味しいにゃー。これはたしかにお兄さんの食事には夢中ににゃるかも」


「いや。普段はここまでしないぞ。基本インスタントオンリーなんで」


「でも料理をしてくれる男の人って憧れるにゃーよ?」


「実際どうなんだ? 一号二号?」


「マアジの御飯が美味しいのは事実だぞ」


「…………結婚してください」


 まぁ今日のグラタンが美味しいのは事実だが。俺としてもよくできているとは思う。とはいえネットで調べたレシピなのだが。


「お兄さん。サヤポンと結婚しない?」


「お前ビッチなんだろ?」


「お兄さんが独占したいならサヤポンはお兄さんに都合のいい女ににゃるにゃーよ?」


「都合のいいって……」


「お兄さんがやりたいときに呼び出してくれればいつでも参上して……」


「はーいそこまで」


 自重しろ。一応食事中なんでね。


「じゃあどうすればいいのにゃー?」


「そもそもやりたいときに呼び出して呼びに応じるか?」


「マ〇マ大使レベルで」


 あのレベルってかなりのものだぞ。


「実際にルイお姉ちゃんとタマモお姉ちゃんはヤってるんだしにゃー」


「そうだぞ。ボクとマアジはやりまくってるぞ」


 もしもし? ルイさん?


「…………この身体を好きに弄られております」


 タマモさん!?


「だから今日もやろうね? マアジ」


「…………いつものように凌辱してください」


 こいつら。外堀から埋める気だ。


「楽しみだにゃー。お兄さんのイチモツ」


 ごくりと唾を呑み込むサヤカ。とはいえだ。俺のアレなんて然程ではないんだが。


「ていうかサヤカのビッチ疑惑って別に実質的なモノじゃないだろ?」


 そもそも食事中にする話題でもないんだが。


『片中サヤカはビッチだ』


 とネット上で言われているだけだ。実際の彼女は処女であるはず。


 最初にその話題が載ったのはネット掲示板だ。


『俺氏。片中サヤカちゃんに理解わからされる』


 そんな書き込みがあった。それによるとサヤカに色々と理解らされたらしい。その書き込みに呼応して、俺も僕も某も、とサヤカに色々とされたというコメントが付いた。そしてその誰もがそのことを忘れられずサヤカのファンになったらしい。ロリ系の肢体でメスガキの如く男を蔑み、下に見る。そのことに感動したファンはオメガターカイトのファンというかサヤカの推しになったらしい。


 もちろんそんなことを現実でやればアイドルとして終わっている。なのでそうではない。というと何だという話になるのだが、つまり夢の中だ。


『夢の中でメスガキのサヤカちゃんに理解わからされた』


 というコメントが勃発して、それが一人や二人ではなかった。なのでメスガキ系ビッチアイドルとしての地位をサヤカは獲得していた。


 そんな夢は見る方が悪いと思うのだが。


「お兄さんも興奮する?」


「いや。しません」


 俺としてはノーセンキューだ。メスガキに理解らされるほど御高尚な性癖はしておりませんので。


「そんなこと言いつつこっちは素直にゃーよ?」


 俺の股間をスリスリするな。一応屋内用のジーパン履いてるけれども。あと立ってないからな。


「やっぱりタマモお姉ちゃんみたいにゃバインボインが好き?」


「いや。ロリも範疇」


「ちなみに何歳下までありにゃー?」


「考えたこともねぇ。美味い料理を食らうがごとく、だ」


 最低の発言をしていることは知っているが、実際に何歳下までって考えたことは無い。


「ごちそうさまでした」


 食事が終わる。俺はいつものように皿洗いに精を出して。ルイとタマモはテレビをつけてネット番組を見る。ところでサヤカは帰らなくていいのか?


「今日がサヤポンの初夜だから……」


 キュルルンと愛らしい声でそう言われると、俺としてもどう応じていいものか悩むんだが。親には連絡しているらしい。今日は友人の家に泊まると。さっきから今までの間にどういうやりとりがあったのか。サヤカは親に連絡を取っていたらしい。それでルイの部屋にお邪魔することになったので……みたいな。だったら隣の部屋に泊まれよって話なのだが。もちろんやる気なのだろう。


「さて、そうすると」


 俺がいただかれてしまうわけで。カチャカチャと皿を洗いつつ、現状どうすべきか俺は悩んでいた。とは言っても逃れようにも無理っぽいのは何となく察している。


「じゃあタマモお姉ちゃん。一緒に入ろ?」


 こうなると部屋で消費されるタオルも倍加するのだろう。女子って風呂で使うタオルがかなり多いらしい。と知ったのはルイと一緒するようになってからだ。俺が洗濯をしているのだが、それでいいのかお前ら。


「…………一緒に入るのは……いいんですけど」


 ギラギラと目を光らせているサヤカに、タマモはちょっと引いていた。


「そのおっぱいを揉ませるにゃー」


 ちなみにタマモは人一倍胸が敏感らしい。いや、実体験に基づく理論じゃないぞ。自己申告でそう聞いているだけ。


「じゃあマアジ。ボクたちも一緒に入るぞ」


「却下で」


「何でもしてあげちゃうぞ?」


「何でもって……何でも?」


「何でも」


 例えばルイで出汁を取った風呂の水で明日のご飯を炊いたり……とか?


「さすがにそれは引く」


 ですよねー。


「…………マアジ。……あたしので良ければ」


 おずおずと挙手するタマモ。


「いや。それは引く」


「…………残念」


 ガチだったのか。俺が提案したのはルイを引かせるためだったのだが。


「じゃあお兄ちゃん、待っててにゃー。タマモお姉ちゃんをピカピカにしてくるから」


「…………え……本当に一緒に入るんですか?」


「女に二言はにゃいのにゃーよ。レッツジョー!」


 劣情って言いたいのかな? バタバタ。パタン。そうしてタマモとサヤカは風呂場に消えていった。残ったのは俺とルイ。は。殺気。


「マ~ア~ジ~?」


 劣情の予感。というか既に完堕ちしているメスの目で、ルイは二人きりになった俺にしなだれかかる。エサを前にした肉食動物のように俺を捉え、その唇に情熱的に唇を重ねる。


「……ちゅ……ぅん……ちゅぱ♡……ちゅぷ♡」


 まぁ好きにさせよう。キスをしないと気が済まないらしいし。というか結局ルイの言っていたモミジって俺でいいのか? だとしたらルイは俺の経緯を知っている? というかだ。


「ん! んん! んんん!」


 むしろ興奮して俺の方から攻めてしまった。相手の口内に舌を入れて、隅々まで舐めまわす。理解わからせられたルイは瞳を溶かして劣情に身を委ねていたのだった。ちゃんちゃん。

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