第42話:ライバルがまた一人
御申告
※第2部から少しだけ性的な描写がチラホラ出てきます。苦手な方はご注意を
※――――――――――――――――――――※
「ほわー。ここがルイお姉ちゃんとタマモお姉ちゃんの……」
「……」←ルイ
「…………」←タマモ
この状況は一体なんだ、と言いたいのだろうが俺だって理解はしていない。
片中サヤカ。
今目の前にいるのはそう言う名前の女子だ。もちろん芸名。
背は低く、愛らしいマスクで、身体に起伏はない。まぁ言ってしまえばロリ系の女子だ。一応年齢というか自己申告ではルイとタマモともそう変わらないはずだが。彼女から受けるイメージの年齢はどう見ても中学生を超えない。
逆にタマモとかは本当に高校一年かと思わせるバインボインなんだが。
「いつもはどこでやってるにゃーよ?」
俺の部屋に上がった片中サヤカは、まるで冒険でもするかのように俺の寝室とか風呂場を観察する。
「やってないから」
「またまたー。今更そんな言い訳しにゃくても。どうせ二人とやることやってるにゃーよ?」
まぁそう思われてもしょうがない状況ではあるのだが。
「ギシギシアンアンってよろしくやってるにゃ? 大丈夫。サヤポンはそういうことには寛容にゃのにゃ」
「ていうか語尾がにゃって常になんだな?」
「キャラ付けのつもりだんたんだけど。いつのまにかにゃー」
「マ・ア・ジ?」
「…………マアジ」
で、現実を逃避していても、来るべき時はやってくる。
「サヤカとはどういう仲だぞ?」
「…………説明を求めます」
まぁ言ってしまえばルイの落ち度なのだが。ちなみに責任は帰結しない。そりゃストーカーされて我が家にいる宣言したルイが俺の部屋にいることを察知されてはどんな言い訳も無効だろう。
「ちょっとそこでな」
「ナンパされたんだぞ?」
ナンパ……というか痴漢された。
「お兄さん!」
その俺の部屋は、端的に言ってあまり華やかではない。必要最低限の家具だけを置いている感じ。なんだっけ。ミニマリスト? その部屋模様を確認した後、片中サヤカがタックルしてきた。俺のお尻に顔面をぶつけて、ごしごしと頬を擦りつけてくる。
「うへへぇ。お兄さんのお尻~」
男の尻が嬉しいか?
「超興奮だにゃー。サヤポンお兄さんのお尻大好き」
こいつはこいつで癖を歪ませているらしい。
「ところでお兄さん。フェス前の箱ライブに来てたよね?」
ムギュッと俺のお尻に顔面を埋もれさせながら、そういう片中サヤカ。
「だなぁ」
「あの時ルイお姉ちゃんは既にメスの顔してたけど」
「し、してないし……」
顔を赤らめて否定するルイ。俺としてはどんな顔をしていたかまではあまり。嬉しそうに微笑んでいたような気もするのだが。
「こんにゃセキュリティバリ高のマンションでやることやってたらそりゃメスにもにゃるってー」
「っていうか。そこまでわかっていて何で問題にしないんだぞ?」
「そりゃ竿姉妹には理解を得るのが妹の務めだにゃー」
「さ、竿姉妹」
まぁそういう言葉はあるけども。片中サヤカの中では既にルイとタマモは竿姉妹なのだろう。本気で俺は何もしとらんのだが。
「お兄さんのお尻素敵だにゃー」
「ジーパン越しに分かるものなのか?」
「サヤポンほどのビッチともにゃれば、撫でるだけで相手のお尻を把握できるのにゃー」
メスガキ系ビッチアイドル。
それが片中サヤカを端的に表す二つ名だ。酷い名前だと思うが、既にネットでは片中サヤカがビッチであることは確定らしい。ではそれが何を論拠にしているかというと。
「お兄さんも理解らされたいでしょ?」
「まぁ否定はしないが」
そういうことに興味が無いと言えばまったく虚偽になる。
「マ~ア~ジ~?」
「…………マアジ?」
しょうがないだろ。そもそもこっちは成功体験に興味津々の童貞だ。正味な話、問題が起こらない限り俺にとってそういうことは憧れの対象だ。
「じゃあ今日やろうね。退院祝い」
「…………今日は丁寧に身体を洗わないと」
ニコッと笑むルイと、モジモジしだすタマモ。
だーかーらー。本気でお前らアイドルだろうが。俺にだって限界というものが有ることを前提に言ってんだろうな?
「えーと?」
で、俺のお尻を体験し終わったのか。片中サヤカが俺を見る。
「片中さんは……」
「サヤカで良いよ?」
じゃあサヤカで。
「サヤカはこういう状況を見て何を思うんだ?」
「やっぱりお兄さんのイチモツは魅力的なんだろうなって」
「いや。いうて然程自慢するモノじゃないぞ?」
「じゃあなんでルイお姉ちゃんとタマモお姉ちゃんが?」
「そこはもう溢れ出る男としての魅力が……」
「まぁ無いわけじゃにゃいけどね」
えー。何その感じ。
「さっき撮った写真に関しましては」
「大丈夫だにゃー。お兄さんが誠実である限り、写真は広まったりしないから」
その誠実の間隔は誰が決めるんだ?
「さーてにゃー?」
ていうか問題になっているのはルイとタマモなのに、なんでサヤカは俺を脅迫しているのだろう。
「お兄さん? とりあえずキスしにゃい?」
ピシッと空間がヒビ割れた。
「き……キスですか」
「こう見えてサヤポンキス得意だよー」
「俺は然程でもないな」
「えー。キスの上手くにゃい男の子は見限られるにゃーよ? ほれ。サヤポンにチュー」
「いや。刺されるから」
「お兄さんのイチモツで?」
というか、お前のその放言が殺傷事件にだな。
「このビッチ~!」
「…………さすがに容認不可」
おちけつ。しないから。
「じゃあボクとはしてくれるぞ?」
「…………あたしともしてほしいです」
トロンとした瞳で要求してくるルイとタマモ。
「ほら。メスの顔じゃん」
否定も難しいのが俺にとっての真実で。
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