第15話

「何震えて——…。……」



予想できてなかった沈黙の間も、何も口にすることができない。震えが止まらない。



「あーー」



それどころか追い討ちをかけるような男の声に、動くことも叶わない。


ただ言葉通り唇を奪われて、状況が理解できなくて、身体はカタカタと震えている。



「“そう”か」




投げ出されたまま、面倒そうに映る男の顔。ちら、と視線を遣られて逸らされるも伸びてきた腕に思い切り後退りすれば追ってベッドまで乗り上げられてしまう。



「おまえ、本当に孕めるか?」



忘れていた衝撃的発言が帰ってきた。

が、それから再度謎の沈黙があって、次に聞こえてきたのは「仕方ねーな」の声だった。



「俺は女に興味がなかった。意味解るか」



私は首を縦に振ることも横に振ることもできない理解度で何とか話についていこうとした。



「だからおまえの裸を見ようが触られようが、“今は”勃たねぇ。解ったな」


「た……?」


「クソ餓鬼。まー俺が孕めっつったらおまえに拒否権ねぇけどな」




一体この人は何の話をしているのか。やはり酔っているのか支離滅裂で理解不能だった。




「きり、暫くおまえは俺のペットだ。…いいな」





は????

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