道案内

天川裕司

道案内

タイトル:道案内


仕事帰り、私はゆっくり道を歩いてた。

すると向こうのほうに

男の人がウロウロしてるのが見えた。


「…?何してんだろ」

なんて思いつつ通り過ぎようとすると、

男「…あ、すいません、S町までどう行けばイイんでしょう?」

と聞いてきた。

なんでも余所の街から来たらしく、

この界隈のことを何も知らない。


私にもこんな時があったので

その人の気持ちが少しわかり、

道案内してあげることにした。


男「すみません!ほんと助かります」

交番にいちいち行って聞くのが嫌だったんだろう。

まぁ私にもそんな経験があったのでとりあえず納得。


そしてしばらく男の人は私のあとについて歩いた。

辺りをキョロキョロ見回しながら、

本当にこの街が初めてだったようだ。


「どこから来られてるんですか?」

男「え?ああ、F町のほうから」

「え?F町ってったら、ここからずいぶん遠いじゃないですか」

男「そうなんですよ〜。ちょっと出張を兼ねてこちらへ来たものでして。それに僕は昔から方向音痴でw」

「そうだったんですねぇ」


いろいろ喋ってる内、S町に着いた。

「もうここS町ですけど?……」

と振り向いた時、彼は居なかった。

「…え?…どこ行っちゃったのよ…」

どこを探しても居ない。

「何よ!人に道聞いといていきなり消えちゃうなんて!」

ちょっと憤慨。


「はぁ。もうイイや」

無駄骨したなぁ〜とか思いながらも

とりあえず帰路へ。


途中で喉が渇いたからコンビニへ寄った。

「いらっしゃいませ♪」

「何しよっかなぁ」

なんてジュースのコーナーに行った時、

冷蔵用の開き戸のガラスに男の人が映ってた。

「きゃっ!!」

思いっきり後ろを振り返ったが誰も居ない…

また開き戸のガラスを見ると、

私の背後にぴったりくっつく形で

あの男が影のようにたたずんでいた。


動画はこちら(^^♪

https://www.youtube.com/watch?v=ZY3bE584Yik

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

道案内 天川裕司 @tenkawayuji

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ