第3話石崎の能力

辰馬たちだけでなく奥さんも肉を焼いている。辰馬が人一倍食べる量が多いので

焼いても追いつかないからだ。


「はい、焼けたわよ」


「ありがとうございます。あ…カルビ5人前追加お願いします」


「石崎君と違って、脂っこいものばかり食べるわよね。タンとかどう?一応店でも人気高いんだけど」


「あの辺の肉苦手なんですよね」


「そっか。あと、ビビンバも追加よね?準備するから待ってて」


石崎がホルモンを焼きながら話しかける。


「お前の大食いって年々凄くなってないか?」


「ほんと、それな。用心棒の給料結構貰ってても食費で全て消えてるし」


辰馬が食べ終わったビビンバの皿の山を見ながら話す。


「一応仮説はあるんだけどな」


「その身体になった仮説か?聞かせてくれよ」


「俺がここの用心棒始めた中一の頃から倒した探索者の魔石を必ず壊してたんだよ。もう簡単に悪さ出来ないようにするためだったんだけどさ…。その魔石を壊した影響で俺の身体に変化があったんじゃないかなって…」


「でも、その仮説って国から正式に発表されてないんだよな?」


「あぁ、そもそも無能力者が探索者を毎日のように相手するって方が可笑しいからな。だけど身体能力は数倍以上あるんだぜ」


辰馬は力こぶを見せながら石崎に話す。


(警察官達が頑張って治安維持に努めているが、人手不足だからなぁ。辞めるに辞めれないんだよな。食費も稼がないといけないし…)


「そういえば俺の固有能力って、やっぱり雑魚だと思うか?」


焼いた肉を食べながら聞いてくる。


石崎は吹っ切れたのか特に気にした様子はなく気持ちを切替たようだった。


「そんなことないと思うぞ。能力のレベルを上げれば心電図とか分かりそうじゃん。無料で検査出来るようになるさ」


「なんだよ、それ…。探索者として戦闘やサポートにも無理そうだろ…。まぁ探索者になる気は全く無かったから、いいんだけどさ」


石崎の目は本当の事を言ってるように見えた。


(そういえば学年が上がる前に委員長が探索者の話してたな…)


「相変わらず委員長の事が大好きだな」


石崎は飲んでいる烏龍茶で咽たようで、口元を抑えながら顔を赤くして話す。


「な、なんだよ突然…」


「ダンジョンに行って固有能力を手に入れてきたのは、委員長と話すネタ欲しさにだろ?」


「はぁ…バレてたか。そうだよ、アイツが以前興味あるって話してたからバイトで貯めた金で行ってきたんだ。結果は微妙だったがな…」


「委員長は将来的に探索者の研究したいって言ってたからな。それに能力が微妙って言っても一応攻撃にも使えと思うけど?」


石崎は身を乗り出してきた。


「この能力で攻撃に使えるって言うのか?」


「あぁ、脳からの電気信号で人は筋肉動かすだろ?それを阻害する事が出来れば、スタンガンみたいな事くらいは出来るかも?」


「おぉ!流石多くの契約者屠ってきただけはあるな。説得力が違う」


「あ、でも人に使ったら容赦なくボコるから」


「いや、もうダンジョンに行く気もないし使う機会もねぇよ。せいぜい身体能力強化くらいだわ」


「身体能力強化は、魔力量結構使うから維持することが難しいけどな」


固有能力の方も特異なものは、多くの魔力消費をすると言われている。


(石崎の固有能力は然程魔力消費しないと思うけど、調子に乗るから言わないでおくかな)


「は~い、カルビ五人前とビビンバ五人前よ!」


話していると奥さんが料理を持って辰馬たちの場所へ来た。


「ありがとうございます。流石にこれだけ食べれば、夜食まで持つぜ」


「ふふ、相変わらずの食欲ね!」


奥さんは料理を置いて厨房へ戻っていった。


「さて、店に人が来る前に食べ終えるか」


「そうだな!」


辰馬と石崎はペースを上げながら残りの料理を食べるのだった。

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