第12話

あぁ…ユキ、マジでごめん。


仕方なかったんだ。




口を尖らせて、ジュースのストローをぶくぶくと吹いているユキは


不機嫌そのものだ。




「ユキ〜零れてるよ〜」



零れてたジュースを拭いてあげるノアちゃん。



「零れたんじゃない。零してるんだ」


「なんで零すの」


「世の中があまりにも不条理なんだもん」



小リス、小リス、とレオたちにいじめられてるユキも、今日の出来事にはヘソを曲げてしまったようだった。



「もー。ユキは。どうしちゃったの。コレあげるから機嫌直して」



そう言ってノアちゃんは、自分の前に運ばれて来たパフェに刺さっていたポッキーをユキの顔の前に差し出した。



「…………そんなもの」



…とかなんとか言いつつ、ちゃっかりノアちゃんにあ〜んされたユキ。最後の一口なんて、普通に笑顔だった。あざとい小リスめ。




「…………なんかイライラすんなぁ」


「あー、うん。なんか不機嫌かも、俺」



ノアちゃんのあ〜んを羨ましがり、口々にそんな言葉を吐き出す俺たち。



「青山ぁ。バナナも食べたい。あ〜〜〜〜ん」


「え〜!もー、仕方ないな〜」




ユキはそれを絶対気付いているくせに、ノアちゃんを独り占めする作戦に出た。





その後ファミレスを出るまでの30分間、微妙な雰囲気が流れていた事は、ノアちゃんは知らない。




見通しの着かない戦いは、多分この先も続くんだと思う。




挑発vista. END

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挑発vista 星(魔法のiらんど) @sei-goldwolf17

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