第8話

「んじゃ、今から隊服の支給と能力の説明と所属部隊を説明するからね。本当は、こういうのは耶雲あたりに押し付けてるんだけど…黎は異能使ったことないし途中で暴走でもされたら、耶雲だったら弱っちくて死ぬから。仕方なくね。」


斗鬼隊長の部屋を一緒に出てきた俺たちは、その奥の渡り廊下を歩いて別の棟へと向かっていた。


どうやら湊副隊長はオンとオフが激しい人らしい。会ってから数時間しか共に過ごしていないがそれがよくわかる。


「…何そんな、俺のこと見てんの」


「あ、いや…なんでも…ないです」


「ふーん、あっそ。」


ゆるく縛っていた髪を下ろし、無造作にかき上げた。



「黎が今日から所属する部隊は、第三精鋭部隊。今更だけど俺たちは『月影』っていう名前で、君たちを被験体扱いしていた奴らは『ファントム』という名で読ばれている。


第3精鋭部隊は変な奴しかいない。でも能力は最強レベル。基本は一部隊5人で形成されるんだけど第三だけそれに見合う異能力者がいなくて4人だったんだ。ちょうどいいから黎をそこに入れるよ。」


渡り廊下を歩いて行って、エレベーターに乗って2階に上がる。

2階にはいくつか部屋があって、そのうちの三つの部屋は

『第一精鋭部隊』『第二精鋭部隊』『第三精鋭部隊』の部屋で残りは倉庫や食堂に自販機などが置いてあるちょっとした休憩スペースがあった。


第三精鋭部隊の部屋はエレベーターから1番遠い奥の角部屋らしい。



「はい、ここが第三精鋭部隊の寮。入っていいよ」


と言って指紋認証の部屋なのか人差し指をドアノブの下の方に当てて扉を開ける。



「おーい、美零(みれい)。凛月(りつ)。紫桔(しき)。日凪(ひなぎ)。いるでしょ〜、何してんn」



俺より先に入った湊副隊長は玄関から少し続く廊下を渡って左の部屋を覗くと止まった。


「…」


俺も後ろからのぞいて言葉を失った。


だって…


「ちょっと、待ってマジでやめてね?!絶対当てんといてな?!!!やめてね?!」


「動いてたら当たるに決まってるでしょ、そんなこともわかんないほどバカなんですか?」


「大丈夫、大丈夫ー!!動かなかったら、当たらへんでー!」


「土台は土台らしくおとなしくしとけ。」



白髪のロングの髪の毛を下ろしている女の子の頭の上には林檎が乗っており。


その正面には紫がかった髪色をした男子が指で撃つような構えをとっていて


そのまたさらに横では赤茶色の髪の男子が足を組んでソファーに座っていて


その男子の隣にソファーに座りながらも身を乗り出して興味津々で見ている金髪の男の人がいる。


なんとも異様な光景である。


「当たる可能性は限りなく低いですが、もし俺の異能が当たってしまった場合は全治2週間のダメージを負いますのでご了承ください」


「まじ当てたら倍返しだから。紫桔の異能をそのまま弾き返してやんよ。」




「はぁ…ほらほら、何やってんの…新人だよ〜」


湊副隊長は手を2回叩く。

どうやらこの4人は今の今まで俺たちの存在に気づいてなかったらしい。


「新人?」


白髪の女の子が口を開けたのと同時にみんなの視線が一斉にこっちを向いた。


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